歌手松田聖子(50)が、米ジャズ界の大御所ボブ・ジェームス(72)率いるユニット、フォープレイにゲストボーカルとして参加することが9日、分かった。同ユニットの新アルバムは9月に発売され、ジャズ・ボーカリストとして世界デビューを果たす。同ユニットに日本人歌手が参加するのは初めて。聖子は、ジャズフェスティバル「東京JAZZ2012」(9月9日、東京国際フォーラム)に出演し、同曲を初披露する予定。もちろん、聖子がジャズフェスに本格的に出演するのも初めて。

 ボブは昨年、被災地岩手県で開催されたジャズフェス「いわてジャズ」に参加し、復興を願って作った「プット・アワ・ハーツ・トゥゲザー」を地元オーケストラとの共演で披露した。その後、ボブは同曲のボーカルバージョンを制作し、同曲を中心とする継続的な復興支援を熱望したという。

 一方、聖子は昨秋、アメリカで行われたクインシー・ジョーンズのコンサートを見に行き、日本の友人と紹介され、「上を向いて歩こう」を歌った。クインシーはボブの師匠の1人で、聖子は英語が話せる国民的な女性アーティストとして知られる存在となった。

 今回、「プット・アワ・ハーツ・トゥゲザー」を日本人歌手が歌うという企画が持ち上がり、聖子はボブからの熱烈なラブコールを快諾。同曲のボーカリストとして参加することになった。

 同曲を収録した、ボブ率いるユニット、フォープレイによるアルバム「エスプリ・ドゥ・フォー」は、9月5日に日本で先行発売され、同18日に世界で発売される。聖子のジャズ歌手としての歌声が世界に向けて発信される。同曲は心を1つにして、さまざま困難を乗り越えようというメッセージが込められたバラード調の曲。収益金の一部は復興支援にあてられる。

 フォープレイには、これまでフィル・コリンズ、チャカ・カーンら世界的なボーカルが参加してきた。聖子は日本人として初参加し、ジャズ界の歴史に名を刻むことになる。

 聖子は「東京JAZZ2012」に出演するボブ・ジェームス・クインテットのステージに一緒に立つことも明らかになった。同曲を初披露し、ジャズ歌手聖子のお披露目になる。聖子がジャズフェスに出演して本格的にジャズを歌うのは初めてだ。

 関係者によると、聖子は「ボブ・ジェームスさんの美しいメロディーに感動し、心が震えました。今回、『東京JAZZ2012』のステージでご一緒して、この素晴らしい曲を歌わせていただけることを本当に幸せに思います」と感動していたという。ボブも「共演のお誘いを松田聖子さんが快く受けてくださったことに、大変ワクワクしています。聖子さんと一緒に音楽の普遍的な力が、いかに私たちを元気づけ、心を1つにできるか表現したい」と語っていたという。

 ◆ボブ・ジェームス

 1939年12月25日、米ミズーリ州生まれ。世界を代表するピアニストで作曲家。ミシガン大在学中の62年、ジャズコンペで優勝し、クインシー・ジョーンズに見いだされる。80年度のグラミー賞受賞。90年のアルバム「グランド・ピアノ・キャニオン」で、リー・リトナー、ネーザン・イースト、ハービー・メイソンとセッションを行い、意気投合し、91年に彼らとフォープレイを結成。97年にリー・リトナーが脱退し、ラリー・カールトンが加入、その後、10年にラリーが離脱し、チャック・ローブが加入した。

 ◆東京JAZZ

 02年にスタートし、今年で11回目となるジャズフェス。今年は、東京国際フォーラムホールA(9月8、9日)や同地上広場(同7~9日)、COTTON

 CLUB(同7~9日)で開催。同地上広場では7日に、ジャズピアニストとして大江千里が初出演する。ボブ・ジェームスのほか、ベン・E・キング、バート・バカラック、スティーブン・ロシートらが出演。毎年世界の大御所たちが顔をそろえる。