水野美紀(38)と伊原剛志(48)が、過酷なジャングルでのロケを乗り切った。国際援助の舞台裏を描いたWOWOW連続ドラマ「天の方舟」(12月9日スタート、日曜午後10時)に出演する2人は、このほど行われたフィリピンでのロケに参加。1979年公開の米映画「地獄の黙示録」のロケでも使われたジャングルで、主演で恋人役の水野と伊原は、高温多湿、虫、マラリアの恐怖、治安の悪さなど幾多の苦難にめげず、役を演じた。

 セブ、マニラと続いたフィリピンロケの最終地は、マニラから車で約3時間のパグサンハンの密林地帯だった。ハエやヤモリが飛び交い、付近にワニやニシキヘビも出没。濁った川には、人食いナマズも生息するという情報もあった。雨期真っただ中で、連日高温多湿。気温は30度を超え、豪雨も降り注いだ。

 伊原

 まず、ハエ、虫を撃退するところから始めました。

 水野

 (約2週間で撮り切る)スケジュール的にも過酷なロケだったんです。お手洗いは便座のないもので、(空気椅子のような)苦しい体勢になりました。

 クランクイン早々、スタッフが高熱で倒れた。マラリアの疑いだったが、幸い過労だった。生水は飲めず、うがいや歯磨きだけでも腹を下すスタッフもいた。明かりを消さないと、虫が殺到して食事ができない。ロケ現場には使用に耐えうるトイレもない。

 水野

 (女性)スタッフは1回(宿泊施設を)出ちゃったら、トイレにも行けない状態。でも過酷なロケを経て、チームが一丸になりました。

 伊原

 麻生監督も、(監督歴)12年で一番いいシーンが撮れたと言っていました。ジャングルは嫌いですよ。ただ、いい絵が撮れるの分かっていますから。

 2人は、国際援助の闇にどっぷりつかり、裏金に手を染める。手抜き工事で死人が出る現実に、罪悪感に苦しむ。そして愛し合うことで、慰め合う。

 伊原

 また不倫の役かと思ったら、本当にあった話ですごい世界。社会派ラブサスペンス(伊原が命名)。ラブシーンもあるので、こないだNHKで(ラブシーンを)ストップかけられた分まで頑張ろうかな。

 水野

 悪女はあまり経験ないですが、もっと腹黒い人もやりたい。(天の方舟は)どう贖罪(しょくざい)するのかが見どころ。20代前半の設定で、キャバクラで働いているシーンは、なかなかのチャレンジ。かなり楽しみです(笑い)。【山田準】

 ◆天の方舟

 ODA(政府開発援助)の裏側でうごめく裏金の世界を描いたドラマ。原作は服部真澄の同名小説(講談社)。貧しい農村で育った七波(水野)は、働いていたクラブで建設会社の若社長と部下の宮里(伊原)と出会い、国際援助の舞台裏に興味を抱く。宮里に、自身の肉体と交換で関係会社への就職を依頼。裏金、賄賂、利権が横行する欲望の世界へ足を踏み入れる一方で、宮里と泥沼の恋に落ちていく。