<連載「気になリスト」(44)>

 強烈な嫁いびりが注目されている。女優キムラ緑子(52)。視聴率20%超えのNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」で女優杏(27)演じるヒロインめ以子の義姉、和枝を演じている。出された食事に手を付けず、食べ物で汚れた床をなめさせる。持参してきたぬか床は捨てさせる…。いびりがエスカレートする中、反響の大きさに驚きを隠さない。「女性週刊誌に大きく取り上げてもらってびっくりしました。故郷にも取材が来て、親がパニックになっていました」。

 台本を読んだ時、「え~っ」と声を出したという。「キャラクターがすごすぎて、こなせるかなと思ったんです。ただこういう役は徹底してやらなきゃと思って頑張っていじめて、きちっと役目を果たそうと決めました」。手を抜かない、あまりの徹底ぶりに予想外の反響もあった。「母のところに親戚の叔父から電話があり『うちには、めいっ子がいないことになっているから』と言われたそうです。私の親戚と思われたくなかったんでしょうね。母も『怖くて見ていられない』と言ってました」。

 眉間にしわを寄せる場面が多いが、収録中は朝起きた時も、しわを寄せていることが多かったという。「寝ている時も無意識にせりふの稽古をしているんでしょうね。夢の中で何かに怒っているか、悩んでいたんだと思います」と話す。

 収録は11月から一時中断した。「和枝として、やりどころがいっぱいあったし『役として生きた感』がすごいんです。収録中はきつかったけれど、それだけ達成感があった。今、みんなと一緒じゃないのは、すごく寂しい」。

 年明け早々、収録に再び参加する。脚本を手掛ける森下佳子さんからは「必ず救いがありますから」と言われたという。「どう和枝さんが変わってくるのか楽しみです」。

 私生活では05年に離婚した劇作家マキノノゾミ氏(54)と11年に復縁した。同氏は連続テレビ小説「まんてん」(02年9月~03年3月放送)の脚本を手掛けており、キムラも出演していた。「いろいろなところに2度結婚したと書かれたけど、私のそんなことに興味ある人がいるのかしらね」と苦笑いした。【林尚之】

 ◆キムラ緑子(みどりこ)1961年(昭36)10月15日、兵庫県生まれ。同志社女子大卒業後、84年に劇団M.O.P.旗揚げに参加。舞台は井上ひさし作品に数多く出演。ドラマはNHK連続テレビ小説「ちりとてちん」など。映画は「おとうと」など。紀伊国屋演劇賞個人賞。趣味・特技はピアノ、華道、剣道。血液型O。