宝塚歌劇団専科スター凪七瑠海が、兵庫・宝塚バウホールで主演作「バウ・ヴォードヴィル『39 Steps』」を上演した。公演は4月24日に開幕し、5月5日に千秋楽を迎え、最後まで完走した。

舞台は芝居とショーの2部構成で、脚本・演出は田渕大輔氏。ストイックに男役像を追う専科スターが、客席を「非日常」の世界へ誘った。

1部は、ヒチコック監督で映画化もされたジョン・バカンのサスペンス小説「三十九階段」をミュージカル化。1914年初頭のロンドンを舞台に、冒険小説のヒーローのような生活を夢見て、故郷へ戻ったリチャード・ハネーを描いた。

退屈な暮らしに飽き飽きとしていたハネーは、刺激を求めてミュージックホール「アリアドネ」へ。野々花ひまり演じる踊り子アリスの誘いを断り、自宅アパートへ戻ると、瀕死(ひんし)の男性が部屋におり、殺人容疑をかけられ、「非日常」を味わう物語が続いていく。

凪七演じるハネーは事件に巻き込まれ、始まる逃走劇。アリスとともに、男が残したメッセージを解読しようと奔走する。

2部は、1部の舞台となったミュージックホール「アリアドネ」でのショータイムを描き、凪七や出演の雪組メンバーらが、洒脱(しゃだつ)なショーを展開。03年入団から宙組、月組をへて16年に専科へ移った凪七は、女役経験も豊富。2部では、マタ・ハリにふんして、妖艶な魅力も発揮した。

公演をめぐっては、開幕前日の23日に、通し舞台稽古で最終確認。凪七は「今回(のバウ公演)は、生バンドでお届けします。千秋楽まで、どうぞ、よろしくお願いします」とスタッフとも誓い合い、無事にフィニッシュ。バウホールでは珍しい生バンド公演は幕を閉じた。【村上久美子】

2部のショーでマタ・ハリにふんした凪七瑠海(撮影・村上久美子)
2部のショーでマタ・ハリにふんした凪七瑠海(撮影・村上久美子)
主演作に臨んだ凪七瑠海(中央)(撮影・村上久美子)
主演作に臨んだ凪七瑠海(中央)(撮影・村上久美子)