藤原竜也(32)が演出家蜷川幸雄氏(78)とのコンビで12年ぶりに「ハムレット」(来年1月22日~2月15日、彩の国さいたま芸術劇場)に主演することが6日、分かった。藤原が蜷川氏に直訴して実現した。オフィーリアに満島ひかり(28)、レアティーズに満島真之介(25)と初の姉弟共演も実現。台湾、ロンドンで海外公演も行われる。

 藤原の役者魂に火が付いた。2年前、蜷川氏演出のさいたまネクスト・シアター「蒼白の少年少女たちによる『ハムレット』」を見た時、21歳で演じて高い評価を受けた「ハムレット」をもう1度やりたいと思い、蜷川氏に「蜷川さんの『最後のハムレット』をやりたい」と直訴。熱意に蜷川氏も賛同し、実現した。

 蜷川演出ハムレットは、78年の平幹二朗、88年の渡辺謙、95年の真田広之、01年の市村正親など計7回上演された。藤原は「03年に演じた時は21歳でそれからひと回り年齢を重ねましたが、過去をなぞることなく、初心忘れることなく、前回とは違う新しい『ハムレット』を見ていただけるように一生懸命稽古に取り組みたい」と意気込む。

 相手役のオフィーリアは藤原と映画「デスノート」で共演し、舞台では初共演となる満島ひかり。蜷川演出は初体験の満島は「シェークスピア劇は数少ない私の夢のひとつです。蜷川さんと何度かお話をして、夢見た舞台への不安や希望をはっきり伝えたら『新たな解釈がほしい』と言われました。果てなき思いにこたえたいです」。その兄レアティーズは満島の弟真之介で、初の姉弟共演。真之介も「いろんな『ひかり』をもったメンバーと魂でぶつかっていきたい」と話す。

 母ガートルードに鳳蘭、叔父クローディアスに平と重厚な配役。蜷川氏も「豪華な俳優の皆さんがそろい、新『ハムレット』として上演する意義のある公演にしたい」と新演出をもくろむ。来年10月に80歳となる蜷川氏を祝うため、ロンドン・バービカンセンター、ニューヨーク・リンカーンセンターから蜷川作品のオファーがあり、来年5月のロンドン公演が決定。2月の大阪、3月の台湾を含め「蜷川幸雄80周年記念作品」として上演される。【林尚之】