子役の浜田ここね(9)が大先輩から絶賛された。映画「おしん」(冨樫森監督)が12日、公開初日を迎え、都内で舞台あいさつが行われた。主人公を演じた浜田は、83年NHK連続テレビ小説「おしん」にも出演し、同映画にも出演している泉ピン子(66)や上戸彩(28)から体を張った演技を褒められ、将来性についても太鼓判を押され、笑顔を見せた。山路ふみ子映画賞で新人賞を受賞することも発表された。映画界に注目の子役が誕生した。

 「おしんから、人前で弱音を吐かないこと、泣かないことを学びました」。浜田は今年2月に始まった撮影で厳しい寒さが続いた山形の雪山ロケなどを経験。故郷宮崎の親元を離れて52日間、現場に立ち続けた。強くなった実感があった。舞台あいさつでは目を潤ませながらも、何度も笑顔を振りまいた。

 大先輩のエールがうれしかった。この日、第37回山路ふみ子映画賞で新人女優賞を受賞したことが発表された。ダブル主演を務めた上戸から「本当にうれしい」と祝福の言葉を贈られた。さらに上戸は撮影を振り返り「私は、ここねと監督についていっただけ」。憧れの大好きな女優から光栄な言葉を続けて贈られると、しきりに照れた。

 国民的ドラマの映画化作品。約2500人応募のオーディションからヒロインの座を射止めた。最終審査で浜田と即興で演技したピン子は当時を振り返り、「オーディションから、この子しかいないと思った」。この日は「お母さんと52日間も離れ、つらかったけどしっかりしていた」と心の強さを絶賛。「もう新人賞取ったんだから、女優やめちゃダメ。チャンスをつかんだんだから…こんなチャンス、そうないよ。頑張って!!」と力強く背中を押した。

 関係者によると、将来の夢について、女優のほかに「メークアップアーティストやパン屋さんもいい」と話しているという。舞台あいさつでは涙をこらえきった。「皆さんに支えられて演技を終われました」。少し大人びた感謝の言葉の後に、愛くるしい笑顔を見せて締めくくった。【村上幸将】

 ◆浜田ここね

 2004年(平16)3月31日、宮崎県生まれ。3歳の時から地元放送のCMに出演。10年「星の庭」や12年「赤毛のアン」などの舞台にも出演。映画「おしん」は全国オーディションで約2500人の中から選ばれた。今年は映画「タイガーマスク」にも出演。