<フィッシング・ルポ>

 強烈なアタリとブルンブルンと手元に伝わる引きをお手軽に楽しめる東京湾のイシモチ釣りが好調だ。イシモチといえば冬の定番。サイズも30センチ超が次々に釣れちゃう。今季は100匹以上の釣果も飛び出している。もちろん、ビギナーでも確実に釣れるし、ボウズ(釣果ゼロ)がないから船の中がとっても明るくなる。そんな、楽しいイシモチ釣りをリポートする。

 海を渡る風が冷たくなってきた。その涼しさとは逆に、東京湾のイシモチ釣りは熱さを増してきている。葛西橋「山口屋」(飯島達夫船長)では、12日からシロギスからイシモチに狙いを切り替え、その初日に91匹が出た。15日には164匹、18日には105匹、19日は136匹と順調すぎるぐらいに釣れている。サイズも20センチ程度の小型もいるが、30センチ近い大物もバンバン釣れちゃう。

 しかも簡単。3本バリの胴付き仕掛けで、水深20メートル前後の底に落とすだけ。現在は、中ノ瀬を中心に狙っている。オモリを底につけたまま、サオを上下にあおる。そのうちブルルン!

 とひったくられるような強烈なアタリに目が覚める。合わせなくても勝手にハリ掛かりしてくれる魚なので、あとはリールを巻くだけ。海面に浮いてくるまで、下に逃げようとするので、ブルンブルン、という引き味も楽しめる。

 取材日は、好釣ということもあるのか13人が乗船。ベテラン7人をそろえた「向島つり人会」の最長老の浅井武寅さん(85=墨田区)は開始直後に27センチの良型を釣り上げ「楽しい釣りだよね。ヒラメとかも面白いけど、東京湾のイシモチはいっぱい釣れるし、アタリが強くていいよね」と笑ってみせた。

 その後も順調に21~33センチのイシモチが釣れて船内には、笑顔が広がった。右舷胴ノ間に座った小沢信一さん(50=三鷹市)と磯部美木子さん(37=新宿区)はイシモチ初挑戦。小沢さんのサオは曲がるけど、どうも、磯部さんはアタリがなかなか来ない。船内の常連さんから「底に着いたら、ちょっと浮かして、上下動するとヒットするよ」とアドバイスをもらい、すぐ実行すると、ブルンブルン!

 といきなり磯部さんのサオが震えた。「キャー、釣れてるぅ~」と大喜び。

 さらに、飯島船長がマイクを通して「エサのアオイソメを房掛けにして、胴体を切るといいよ」との必釣テクニックが船内に響いた。このイシモチ、ブルンブルンのアタリがきてから、しばらくそのままに放っておくと、さらに強烈な引きがかぶってくる。2匹目を釣ることができるのだ。磯部さん、その極意をつかんだのか、2回連続で2匹を掛けた。「最初はアオイソメが気持ち悪かったけど、今じゃ、友だちですね。釣れるとたのしー」と、東京湾に向かって絶叫していた。

 船内ではアジやシロギス、サバのうれしい外道も釣れちゃう。この日は最多で57匹。イシモチのシーズンは始まったばかり。東京湾の“ブルンブルン”を体感してみませんか?

 ▼宿

 葛西橋「山口屋」【電話】03・3644・4546。午前7時40分出船。エサ&氷付きで8500円。火曜定休。