<フィッシング・ルポ>

 手元に“ブルルン”と伝わる強烈なアタリが魅力のイシモチが今、釣れている。冬の東京湾の代名詞にもなってきたが、まだ体験していない釣り人も多いのではないですか?

 葛西橋「山口屋」(飯島達夫船長)ではイシモチの専門乗合船が出漁していて、連日船上でブルブルとサオがしなっている。ボウズ(釣果なし)がなく、必ず誰でも釣れちゃうから、リピーターが多いのも特徴だ。とっても面白くて楽しいイシモチ釣りをリポートする。

 風が冷たい。鼻水まで凍りそうだ。この1~2月の東京湾の風は、朝方だと体全体が震えてしまう。それでもサオを握っていれば、体はポカポカとしてくる。狙う魚がイシモチなら、その暖かさは倍増しそうだ。

 イシモチ釣りでは、まず「釣れない」ということがない。誰でも釣れちゃう。それだけアタリが多くて、待つことが少ないため、体を動かすので寒くならないのだ。しかも、このイシモチ、サオを持つ手に“ブルルン”と、強烈なアタリが伝わってくる。しかも1度ヒットするとバレにくく、しっかりハリ掛かりするから、取り逃がす率も低い。楽しいですよぉ~。

 そこで、山口屋から出漁して、イシモチ釣りの醍醐味(だいごみ)を堪能してきた。荒川の船着き場を離れると、5月22日に開業する東京スカイツリーが船の右後方に見える。荒川の河口では通称「恐竜橋」とも呼ばれる2月12日に開通する東京ゲートブリッジの真横をすり抜けていく。クルージングだけでも楽しいですよ。羽田空港、東京湾アクアライン、横浜みなとみらい地区を通り過ぎて、着いたのは横浜・八景島シーパラダイスの見える小柴沖。水深30メートル前後の浅場だ。

 25号のオモリのついた3本バリ仕掛けを投入した。すぐに着底。糸ふけをとって、ピンッ、と張った。飯島船長から「それねぇ、ちょっと緩めてみてね。その方がいい誘いになるからさ」とスピーカーを通してアドバイスが飛んできた。慌ててサオ先を少し下げて、道糸のテンションを緩くした。すると、すぐにブルルン!

 手首まで震えそうな衝撃がサオを持つ左手に伝わってきた。合わせてリールを巻き取るといきなり30センチ近い大きなイシモチが下から2番目にヒットした。こりゃ、面白い!

 同乗の岩瀬雄一さん(55=豊島区)の誘いをみるとやや違った。着底してからサオを1メートル以上も上げている。「イシモチのタナ(泳ぐ層)が浮き気味。底から2~3メートルにいるイメージですね。だから、仕掛けごとゆっくり上げてヒットさせる」と岩瀬さんが解説してくれた。ただし、日によってタナは底付近だったり、浮いていたりするので、釣り方をいろいろ試してみてください。

 小池俊雄さん(41=葛飾区)は久しぶりのイシモチ釣りだったけれどこの日最長の34センチを含めて27匹をゲット。「このブルルンはたまらないですね。面白いです」と満足顔。大きなシロギスもキャッチしていた。岩瀬さんは41匹。これからまだ数も伸びそう。単純に塩焼きにしても、塩コショウを振って小麦粉をはたいてバターで焼くムニエルもおいしいですよ。寒さを吹き飛ばすイシモチ釣りで東京湾に乗り出してみませんか?【寺沢卓】

 ▼宿

 葛西橋「山口屋」【電話】03・3644・4546。午前7時40分出船、沖上がり午後2時。エサ&氷付きで8500円。毎週火曜定休。

 ▼そのほかのイシモチ乗合船

 ★川崎「つり幸」【電話】044・266・3189。土、日、祝日の午後0時30分出船。エサ、氷付きで6000円。女性と中学生までは半額。タチウオ、マダイ、シロギス、ライトタックルのアジ、ルアーシーバスも出船中。

 ★新安浦「長谷川丸」【電話】046・826・2871。出船は午前7時20分と午後1時。エサ、氷付きで5500円。「今回の特集記事読みました」の合言葉で500円引き。午前タチウオ、午後アジも出漁中。

 ※港名と宿名でホームページ検索できます。