「第35回G杯争奪全日本ヘラブナ釣り選手権」

 「第35回G杯争奪全日本ヘラブナ釣り選手権」(主催・株式会社がまかつ)が10月20、21日に愛知・豊田市の「ひだ池」で行われ、予選を勝ち抜いた36選手(シード含む)が参加しヘラブナの総重量を競った。21日の午後1時からの決勝戦は5選手で戦い、初出場ながら得意の短ザオのチョウチン釣り(バラケとウドン)で32・7キロ(53匹)釣りあげ、他を圧倒した杉本智也選手(33=吉羽園)が優勝。2位は26・6キロ(48匹)で濱嶋勇選手(27=シード)、3位には25・3キロ(44匹)の天笠充選手(42=同)が入った。

 「優勝を目指してやってきたので本当にうれしい」。G杯初挑戦でいきなり頂点まで登りつめた杉本選手が会心の笑顔をみせた。全国大会優勝を目指してわずか4年。そんな短期間で快挙をなし遂げられたのは「バラケを上層で拡散せず、タナまでしっかり持たせるチョウチン釣りにこだわったことが大きかった」。

 深ダナのチョウチン釣りは手返しで上回る浅ダナに匹数で勝てないのが定説だが「バラケをしっかりとタナに入れていくと、時合に入ったときのちょうちんの破壊力は相当なものがある」と開眼。2011年度がまかつへらぶなチーム対抗戦東日本大会(千葉・清遊湖)で4位に入ったことで手応えをつかみ、昨年は他メーカーの大会で3位、今年は準優勝と実力をつけ満を持してG杯ヘラに挑戦。

 そんな杉本選手に味方するように今回の池は上層に中型、下層に大型が群れるベストな条件となり、予選からほかの選手を大きく上回る41・3キロをマーク、準決勝でも24キロのトップスコアで夢舞台へ駆け上がった。「5位か、優勝しかない」と心に決めて挑んだ決勝戦でも他の4選手が短ザオのメーター釣りを選択する中、迷うことなく得意のチョウチン釣りで勝負した。

 「決勝用に結んできた」太軸の重いハリ、しっとりしたシン残りするバラケ、やや重めの食わせでしっかりとエサをタナに入れ、躍動。平成22、23年度のG杯覇者(天笠選手、濱嶋選手)らと競り合うが「最後まで一瞬たりとも気を抜かない」集中力を維持し、ハリスを短くしながら上バリにも食わせる見事な釣りで濱嶋選手を5匹上回る53匹を釣りあげ6・1キロ差で圧勝。数も型も浅ダナを上回るチョウチン釣りの強さを実証した。

 念願の優勝カップを手にすると「ウキを沈没気味に入れ、サオ先を少しだけ持ち上げ、ウキの戻り際のアタリをとっていった」と得意の釣りを披露。「来年も全力で挑み連覇を目指す」とさらなる飛躍を誓った。【近江康輔】

 ◆チョウチン釣り

 見た目が提灯(ちょうちん)に似ていることから名付けられた。サオの穂先とウキまでの間をウキの長さ分ぐらいにし、サオの長さを目一杯使って探る釣り方。天々(てんてん)とも呼ぶ。

 ◆杉本選手のエサ

 ▽バラケ

 「粒戦」100「セットガン」100「とろスイミー」50に水200を入れしばらく放置後、「プログラム」150「セット専用バラケ」100「バラケバインダーフラッシュ」100を加えた。▽調整エサ

 魚の寄りが悪いときに、「ボソっ気」を出すために水にといていない「粒戦」を加えた。▽食わせ

 「力玉ハード」をカットし、サナギ粉をつけたもの。(単位はcc)

 ◆杉本智也(すぎもとともや)1980年(昭55)5月11日生まれ。行田市在住。会社員。ヘラ釣り歴11年、主な釣行池は埼玉県・椎の木湖、羽生吉沼、茨城県の三和新池。コンテンポラリー

 リーダース所属。年間の釣行は50回。

 2位濱嶋選手

 本当は両ダンゴをしようと思ったが先週、冷え込んだのでセット釣りにしました。いつもはカッツケで釣っている池なのでメーターの釣りは難しかったです。2年連続で2位なので来年は再び優勝を目指して頑張る。

 3位天笠選手

 決勝戦は3時間あったのできっちり見極めようと1時間かけてハリスの長さ、エサのタッチを合わせていった。最初の1時間は手こずったがなんとか形にできました。また、一番高いところを目指して頑張ります。

 <経過>

 池は周囲が700メートルほどあり、矢作川から酸素量の多い水が取り込まれ、ヘラの活性がすこぶる高い。19日には35センチ前後の新ベラ(河内産)が2トン放され、毎年、計5トンが放流される。

 初日から2日間行われた予選は36選手が6組に分かれ旧桟橋両側(水深5メートル前後)で2時間を3試合戦った。初日は大雨で水温が下がり、濁りも入ったが桟橋中央付近で食いが立ち、短ザオの浅ダナやチョウチン釣りをした人を中心に各組4人が準決勝へ。

 準決勝は桟橋中央付近南東向きで24選手が4組に分かれ午前9時~正午まで戦った。前日とは一転し快晴で気温も上がり魚の食いが上昇。前日同様、短ザオの浅ダナやチョウチン釣りをした選手が釣果を伸ばし各組1人と、全体で5番目に重量が多かった選手の計5人が決勝へ進出した。

 決勝戦は午後1時から同桟橋の北西向きで3時間戦った。人が減り魚の寄りが激しくなる中、4人が8尺のメーター釣り(セット)、杉本選手のみが8尺のチョウチン釣り(同)で挑戦。

 開始早々から浅ダナの選手が好調に釣っていくが、杉本選手が40分をすぎたころからペースを上げ、40センチ近い大型を連発し約1時間でフラシを交換。その後も順調に釣り続け、ラストスパートをかける濱嶋選手の追い上げをかわし見事、初優勝を獲得した。