<2013年間大賞:船釣りブロック>

 2013年間大賞の発表でラストを飾るのは、船釣りブロックの計44地区だ。日刊スポーツ新聞社指定・共栄会に所属する釣り宿&釣具店で今年、出た大物や最多など価値ある記録を樹立したアングラーに贈られる。

 ◆ヒラマサ=26・8キロ

 平塚義明さん(48=松戸市)、外房・松部「和八丸」8月5日

 夏場だった。右舷ミヨシ(船首)に陣取り、入った釣り場は勝浦沖にある「大貫山」。ハタの宝庫でも知られるA級ポイントで、水深は27メートル前後。今年はここにヒラマサが回遊し、ヒットを連発していた。

 釣り方は、当地独特のカモシ釣りで、サンマのミンチをコマセにし、付けエサもサンマの切り身を使う。この日、平塚さんはまず、1キロクラスのマダイを2匹釣り上げ、ヒラマサも3キロ余りを2匹ゲットする好調な滑りだし。その勢いで午前10時すぎ、付けエサを持参のスルメイカにチェンジした直後だ。

 タナ(狙う魚の泳層)を上から22メートルに合わせて置きザオで待つとギュギューンッ!

 サオ先が派手に絞り込まれた。すぐにサオを手に持って対応したが、折れんばかりに激しく引き込まれ、「やたら重い引き」でリールを10メートル巻けばズルズル…と、それ以上に道糸が出ていく。強い日差しが照りつける中、30分余りのアツいバトルの末、海面下に白っぽい魚体が見えた。すかさず船長と同乗した人がタモ網を2本出して取り込み、足元でバタバタ…とハネる巨大魚に思わず「やったあ!」と喜びの声を発した後、疲労困憊(こんぱい)…で、サオを畳んでしまったという。

 平塚さんの釣りは、マダイもヒラメもやり、キャリア20年。ヒラマサは「和八丸」でカモシ釣りを覚えて15年、過去に9キロ弱が自己の最大で“3倍返し”で更新し、同時に「和八丸」のレコード(24キロ)を20年ぶりに塗り替えた。決して大物志向ではないが、来年はまだ体験していないマグロの30キロを「釣りたい」と夢を膨らませている。【長瀬川忠信】

 ◆現認・松部「和八丸」中村昌平代表(67)

 今年はヒラマサの<当たり年>で、大貫山を中心に例年以上に数が釣れた。ただ、サイズは7~9キロクラスと11~14キロクラスが多く、そんな中で、平塚さんの(和八丸での)レコード更新はノー文句の年間大賞。狙ったものは「これと決めたら」こだわって釣るタイプで、巡ってきたチャンスは逃さない。それにしても浅い場所で、よくぞ根ズレもせずに取り込めた。お見事!