<フィッシング・ルポ>

 静岡・伊豆半島を舞台に35センチ以上のメジナ3匹の全長で競う「第1回磯メジナ伊豆半島ダービー」が白熱開催中だ。1月15日から3カ月、期間内に釣った魚の長さで上位3匹の合計で順位を決する。今シーズンは40センチオーバーが連発しており、列島に大雪を降らせた低気圧さえ解消すれば、再びメジナフィーバーで活況を呈しそうだ。

 ダービー初日の1月15日から釣果が出た。その後、毎日記録が更新されて、首位が猫の目のように変わっていった。

 そしていきなり動いた。22日だった。石廊崎「橋本屋」(山本一人代表)で40センチ超が連発した。大根からサオを出した紫葉(しば)繁さん(47=横浜市)が、朝から44センチを筆頭に42・5センチ、42・4センチ、41・5センチを4匹連続でゲットした。紫葉さんは「過去に大根に何回も乗っているけど、こんなに大釣りしたことはなかった。うれしい。トップから落ちないように頑張ります」と喜びを爆発させた。このほかにも35センチ以上ならば計10匹を釣り上げた。途中から西風が強くなり、正午前に宿に戻っている。

 その2日後、磯釣り歴35年の杉崎伸張(すぎざき・のぶはる)さん(60=小田原市)は、雲見「佐市丸」(鈴木佐利代表)から近場の沖トンビに渡った。メジナではなくマダイ狙いのつもりで、深いタナ(魚の泳層)、海面から8メートル前後を攻めた。コマセをまき続けて3度のバラシもあった。そんな1時間を過ごした。ギュン、とサオがしなって、44・5センチをキャッチ-続けて41・7センチも釣り上げ「深場を攻めて正解でした。マダイは釣れなかったけどね」と杉崎さんは笑った。

 紫葉さんと杉崎さんの釣行に挟まれた23日、中山紘一さん(31)は、大瀬「倉の下」(山本良一代表)からマタガネに乗った。ずっと無反応だったが、午後1時すぎ、手のひらサイズが釣れた。「釣り方で一日中悩み続けて、ようやくつかんだ深場攻め。もう1度自分を信じて仕掛けを落としたら、きました」と中山さんは振り返る。41・4センチだった。2月10日に「橋本屋」から出漁して、39・5センチ、39センチを追釣して、3匹合計で上位陣に迫る119・9センチを記録した。

 現時点での最大魚は意外なところから出てきた。2月1日、里見孝明さん(30=藤枝市)が「倉の下」で渡船して49・5センチを釣り上げた。普段はモロコをメーンとする。オモリ5Bで底攻めに撤した。「メジナはどうでしょうかねぇ。でも良一代表に応援もされたし、頑張ってみます」と里見さんは気合を入れた。

 6日に動いた。橋本屋から大根小島に渡った小林尚喜さん(39=下田市)が41・6センチの口太、41・4センチのオナガを釣り上げた。「沖の方に伸びるいい潮を見つけた。釣れるイメージがわいた。じんわり合わせたら掛かってきた。面白いですねぇ~メジナ釣り」と小林さんは満足げな表情をみせた。

 同じく6日、「倉の下」から与平に入った戸原直(とはら・ただし)さん(55=東伊豆町)は、2投目で42センチ、さらに42・1センチ、38・7センチを釣り、首位の紫葉さんに6・1センチにまで詰めた。「週1回ペースでメジナ釣りに興じている。ダービーも楽しんでやりたい」と話した。

 昨年、メジナ王者に輝いた山木隆男さん(50=入間市)が7日に41・3センチ、10日に41・5センチをそろえて5位に割って入ってきた。混戦になってきた。低気圧が抜けたころ、伊豆半島はメジナで再び盛り上がりそうだ。【寺沢卓】

 ▼問い合わせ

 石廊崎「橋本屋」【電話】0558・65・0108。

 大瀬「倉の下」【電話】0558・65・0167。

 雲見「佐市丸」【電話】0558・45・0248。渡船料金は各宿に要確認。

 ダービー参加費は1000円で、その場で特製Tシャツを進呈する。