<釣りをしようよプルルン体験隊>

 鹿島のフグの調子がいい。慣れたベテランは70~80匹も釣り上げているという。意外にもビギナーでさえ、コツさえつかんでしまえば、20匹前後はキャッチできる。そこで、将来は「釣り師になる」と宣言する人気子役、佐野代吉クン(11)が鹿島「第三幸栄丸」(小野和儀船長)から初めてのフグ釣りに挑んで、いっぱい釣っちゃいましたよぉ~!

 代吉クンにとっては、初めてのフグ釣りだった。

 「やっぱり毒をもっているから、ちょっと怖いかなぁ、って思っていました」とフグの印象をつぶやいた代吉クンは「それと、違う釣りをしていると、あのカッターみたいな歯でハリスを切られちゃう。食べられないし、釣りでは邪魔者だし、まさか、狙って釣るとは思ってもみなかった」と驚いていた。

 もっとびっくりしたことがあった。フグ釣りは、仕掛けが独特で、オモリのすぐ下のハリにアオヤギを刺して、さらにその下の3本イカリバリ2個でフグを釣り上げる。「でも、その3本イカリがバーブレス(返しのないハリ)だからどうするのか。チンプンカンプンです」と釣る前の代吉クンは首をひねるばかりだった。

 エサはアオヤギのむき身だ。「へえ~、カワハギみたい。そういやカワハギ釣りのときにも、小さいフグがいたなぁ~」と代吉クンは納得するように首を縦に振った。

 アオヤギは縫い刺しにして、ハリに絡めるように掛けた。水深40メートル。底からちょっと浮かしたところがフグのタナ(泳層)だ。サオ先がピクンと動いて、ブルンと震えた。上げてみるとアオヤギ全部を見事に食われていた。「フグは素早いですね。もうちょい早めなのか」と代吉クン。

 そんな中、お父さんの和彦さん(52)が釣れた。「そのまま動かさないと、アオヤギは食われてしまう。だから、ちょっとだけ動かして様子を見ていました。するとサオ先がかすかに動いたので、サオを思い切り振り上げたら、フグが掛かっていました」と振り返った。

 「なるほど、そういうことなんだ。サオ先の動きを見てからでは遅いんだ。面白いなぁ」と代吉クンは瞳を輝かせた。コツをつかめば、釣果もついてくる。このあと、空合わせで空振りもあったが、コツコツとヒットとキャッチを重ねて、代吉クンは37匹、お父さんは40匹だった。底狙いだったこともあって、大きなホウボウも釣り上げることができた。

 釣行後、代吉クンに率直な感想を聞いた。

 「エサがアオヤギだから、くさくない。アオイソメやオキアミをエサにする釣りだと、ニオイは考えちゃうもんね」と話し、さらに「毒をもっている魚だと思っていたから不安はいっぱいだった。でも、さばきも全部やってくれるんで、安心だし、すぐに調理できるから楽チンですね。ボクは釣りが初めての人にはぴったりだと思いました」とニッコリ。

 横浜市の佐野家では、初日は刺し身、2日目は鍋、3日目はあん掛け煮と塩焼きで楽しんだという。お父さんは「まだ、冷凍庫にあります。楽しくておいしい。それと鹿島は東関道がしっかりした道なので、とても近い感じ。また、挑戦したいですね」と話していた。【寺沢卓】

 ▼船

 鹿島「第三幸栄丸」【電話】0299・82・6032。フグの乗り合いは午前5時半集合、氷と下船後のカレーライス付きで1万円。エサのアオヤギは500円、カットウ仕掛け500円。