東京都心は桜が満開だ。日々、取材をしている国会の周辺にも、見応えのある桜並木などがある。上野公園や千鳥ケ淵など、全国的に有名な都心の桜の名所は多いが、国会周辺の桜は、散策しながら眺める点からいえば、「穴場」といえるかもしれない。花は間もなくピークを迎えるが、今の季節だからこそ「国会周辺の桜」をご紹介したい。

 国会議事堂の敷地内の桜は、31日の時点でほぼ満開だった。通常、敷地内はIDがなければ入ることができない(国会見学に申し込めば、一般の人でも入ることができます)が、周辺の歩道を歩いていると、木々の隙間からでも、敷地内の桜を眺めることができた。また、参議院側の敷地からは、歩道の方に向かって、咲き出ている桜がある。数は少ないが、淡いピンク色の集合体はきれいだ。

 冒頭で「見応えのある」と書いたのは、その参議院と歩道をはさんで向かい側にある、国会図書館の桜並木だ。東京メトロ有楽町線永田町駅の出口を出て、自民党本部の前を通過し、「国会図書館前」の交差点まで歩いていくと、数十メートルに続く、ピンク色の空間が目の前に広がる。敷地を囲むように桜が植えられており、歩道を歩きながら、桜を眺められる。私が歩いた日も、桜並木の様子をスマートフォンで撮影している人が、多かった。夜桜も、とても美しい。

 この並木の桜が、ピークを過ぎて花びらが散ったり、葉桜になってしまうと、「今年の桜も終わりだな」と、毎年寂しい気持ちにさせられる。毎年、桜の時期は、予算が成立するか、審議が大詰めを迎えるころ。15年度の予算案は今も審議が続き、成立は4月にずれ込むが、国会図書館の桜の終わりは、年度が改まってからの国会審議が始まる、「合図」でもある。

 場所柄、もちろん、お酒を飲んだりワイワイ騒ぐスタイルのお花見は不可能だ。でも、散歩をしながら静かに桜を楽しむことができる。秋になればこの一帯は、ゴールドのイチョウ並木が広がる。ときに、与野党対決などの混乱も起きる国会議事堂の中から外に出て、季節を感じることができる場所でもある。