自民党の小泉進次郎農林部会長ら若手議員でつくる「2020年以降の経済財政構想小委員会」は13日、20年東京五輪・パラリンピック後、深刻な人口減少社会に突入する日本の新たな社会づくりのあり方を考えようと、「レールからの解放」と、刺激的なフレーズを用いたタイトルの提言をまとめた。会合後、会見した進次郎氏は、人口減少の中でも日本の成長を支えるための「秘策」として「『現役世代』の定義そのものを変えたい」と強調した。

 提言には、「『65歳からは高齢者』なんて、もうやめよう」「政治がそのレールをぶっ壊していく」など、現体制からの『脱却』を強調した言葉が並んだ。

 「ぶっ壊す」というフレーズは、進次郎氏の父の小泉純一郎元首相が、首相になる前の01年自民党総裁選で、党の抜本改革を念頭に「自民党をぶっ壊す」と叫んだことにも重なる。

 進次郎氏が最も力を込めたのが、いわゆる「現役世代」といわれるのが、15歳~64歳の年齢幅になっている現状を変えることだった。この年齢層は2015年の61%から、2045年には52%になるというが、「実際、現役世代として世の中にフィットしている」とする18歳~74歳へと、年齢幅の定義を変えた場合、2045年でも66%を占めると指摘。進次郎氏は「現役世代って、本当にその幅なのという素朴な疑問から生まれた」とした上で「これからは、人生100年生きていくことが、当たり前の未来になる。今は15歳~64歳を労働力とした上で、国の政策がつくられ、社会に落とし込まれている。それ自体を、見直さないといけない」と述べた。

 さらに、「福祉元年と言われた1973(昭48)当時の日本と、これからの日本の国の形はまったく違う。今の豊かさをどうすれば将来に引き継げるか、豊かに見える景色をつくるところから考えたい」とも主張。将来的な社会保障のあり方を見直す上でも、「今の国の形を作り上げている枠を取っ払ってみると、見える景色も違う。(提言タイトルの)『レール』とは、終身雇用や一括採用などの社会慣行だけではなく、既存の概念や常識さえも疑う、大きな概念と解釈してほしい」と強調した。

 今回の小委員会発足のきっかけは、昨年12月に起きた、「3万円バラマキ」に対する党内若手議員の「反乱」だった。15年度補正予算案に、低所得の年金受給者に対する3万円の支給が盛り込まれる方針となり、若手が反発。高齢者世代の「優遇」に映り、これから日本を背負う若い世代に、政府のメッセージが届かないと懸念したためだ。結局、3万円は補正予算に盛り込まれたが、進次郎氏らの要望を受け、稲田朋美政調会長が設置を決めた。

 今回の提言は、かなり先進的な内容も多い。党内で反論が出ることも予想される。そのことも念頭に置いてか、進次郎は「ピンチをチャンスに、ではないが、前向きな方向性の提言を、党にどう受け止めていただけるか。今後は党の調整になる。受け止めてもらえるよう、これからが勝負です」と話した。