東京・豊洲への移転問題に揺れる築地市場。東京中央市場労働組合の中沢誠執行委員長は現状について「市場関係者の9割が移転計画に付き合っていられないと思っている。反対派も推進派も怒っている」と語った。

 仲卸業者として働きながら、築地市場の移転反対を訴えてきた中沢氏は「現実には移転計画は、ほぼ中止に向かって進んでいると思います」と語った。

 水産仲卸業者が結成した「築地市場有志の会」が、4月にアンケートを行った時点で移転延期、築地での業務継続を求める回答は8割を超えていたが、9月に盛り土問題が発覚し、関係者の怒りは高まる一方だ。東京魚市場卸協同組合主催で6、7日に行われた説明会では都の職員への怒号が飛び交い、移転中止を求める声が多数だったという。

 中沢氏は、都と市場の要職で構成された最高決定機関「新市場建設協議会」が06年に基本設計を策定できず「基本設計相当」しか出せないまま08年から4年間も開催されない、ずさんな体制だったと指摘。11年に日建設計から納品された「基本設計案」は物流に問題があり、業界側は合意しないのに都が着工したことに「都は何でもかんでも隠してきた。(業者と都の間の、移転への)合意形成は難しい」と語った。

 一方、移転推進派の伊藤裕康築地市場協会長は「我々も困っているが感情的になっても仕方ない。食の安全、安心を第一に冷静に判断しないと」と語った。