東京都の小池百合子知事(64)は15日、20年東京五輪のボート、カヌー会場の見直し過程を大会組織委員会に「不透明だ」と批判されたことについて「透明にすべきところはもっとある」と組織委を批判し返した。候補地の1つ、宮城県登米市の長沼ボート場視察に同行した同県の村井嘉浩知事(56)も「組織委に不信感を持った。被災者いじめだ」と痛烈に非難。組織委が出した9つの問題点についても回答を用意し、誘致に自信を見せた。

 仮設住宅とボート場に地元市民3500人が駆けつけるなど終始、小池氏の歓迎ムードで視察が行われた後の会見。組織委について質問が及ぶと、穏やかな口調が一変した。「全く不透明ではない。透明にすべきことはもっとある」と言い放ち「だからこそ見直しを多くの都民が望んでいるのではないでしょうか」と味方につく世論を持ち出し応戦した。

 発端は14日の定例会見。候補地の1つ、埼玉県彩湖について問われ「上田(清司)知事からは、埼玉には主要な競技が来るので十分ですという話をいただいた」と明かした。それに組織委が「水面下で他県知事とだけ話し合うのは極めて不透明」とかみついた。さらに、上田氏も「(小池氏と)電話で話したことも会って話したこともない」と反論していた。

 小池氏は上田氏の意思確認時期について「知事就任後、お祝いの食事をして一杯やりました。その時です」と説明した。組織委が国際オリンピック委員会のバッハ会長が来日する18日までに「混乱した事態を収拾していただきたい」と期限付きで警告した点については「東京都として考えていきたい」と明言を避けた。

 他県知事の1人として、都政改革本部の調査報告発表前である9月13日に小池氏と面会していた村井氏は「(同本部の)候補地に挙がったので『前向きにやりたい』と答えただけ。(小池氏は)長沼ありきなんて全くおっしゃっていない」と断言。組織委のコメントについて「不信感を持った。何でもかんでも、いちゃもんを付けてくる。あれでは五輪はうまくいかない。被災者いじめだ。非常に情けない。大人の対応をした方がいい」とばっさり。会場見直し問題で、自治体と組織委の溝がさらに大きく開いた形となった。【三須一紀】