自民党の小泉進次郎農林部会長は17日、衆院TPP特別委員会で質問に立ち、農業改革に対する安倍晋三首相の認識をただした。

 進次郎氏は党の部会などで、農業の生産資材のコスト高を問題だと指摘し、提供する側である農協の意識改革の必要性などを訴えている。この日も「農業の世界では当たり前なことでも、私はその当たり前が理解できない」と指摘。「部会長として農協の皆さんと向き合う中、今でも分からないことがある。なぜ、農協よりも、ホームセンターの方が(資材が)安い現状が生まれるのか」と疑問を呈した。

 「1円でも安く、必要なものをどこからでも買うことができる、経営感覚を持って自由な経営が出来るようになることが、構造改革だ」と、主張。父の小泉純一郎氏が首相時代に訴えた「構造改革」と同じフレーズを用いて、現状からの改革の必要性を指摘した。

 これに対し、首相は「極めて重要な指摘だ」と応じ、「農産物を1円でも高く買ってもらうための努力を、(JA)全農には行ってほしいという気持ちは(農家の皆さんに)強いと思う。こういう思いや時代の要請に応えて、全農も新たな組織に生まれ変わるつもりで、頑張っていただきたい」と、足並みをそろえた。

 首相はまた、「今が改革を進めるチャンスだ」とも述べ、「農家が1円でも高く売れるよう、コストは1円でも安くなるように。そういう農業に変えていけるように、小泉さんには、大いに期待をしているので頑張ってほしい」と述べた。

 進次郎氏は、質問の最後に「(NHKの国会中継で)テレビを見ている皆さんにも伝えたいことがある」と述べ、消費者に対する異例の呼び掛けも行った。

 「日本の第1次産業を守るためには、農家の皆さんの努力だけではできない。消費者の皆さんの意識や行動も、日本の食の未来を形づくる大きな役割を持っていると伝えたい」と、主張。「最近、野菜が高いといわれるが、全国の農家の皆さんと会って言われるのは、『なぜ、高い時しか言ってくれないのか』ということだ。私も現場を見るたびに、手塩をかけて生産したものが、これだけ(の値段)かと思う農家の皆さんの気持ちは、痛いほど分かる」と訴えた。

 その上で、「農家の皆さんの努力が報われるように、国民全体で支える農業を確立したい」と意欲を示した。