ヒラリー・クリントン氏(69)は米大統領選の敗戦から一夜明けた9日朝、ニューヨーク市内のホテルで会見した。支持者らの拍手に迎えられて笑顔で登場。鳴りやまない拍手に何度も感謝し「昨夜、トランプ氏を祝福した。彼が言うように『すべての国民の大統領』として成功することを望んでいる。負けて申し訳ない。みなさんが残念に思っているのは分かります。私も残念だから」と敗戦を認めた。8日夜は支持者の前に姿を見せていなかった。

 政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の平均支持率で3・0ポイントリードして迎えた投開票日の8日午前は、ニューヨークの投票所で夫のビル・クリントン元大統領とともに投票した。報道陣に「今日勝利するのに十分な幸運を持っていれば、ベストを尽くす」と自信も見せていた。

 ファーストレディー、上院議員、国務長官と王道を歩んできた。オバマ大統領との党指名争いに破れて8年。今年7月に候補指名を獲得。それでも強かった風当たりにオバマ氏は「男性が野心的なことは当然とされるが、女性の場合は疑問視される」と女性が権力を持つことへの偏見の影響を指摘していた。積み上げてきた経歴も、既存政治に対する不満や怒りを支持に変えたトランプ氏の戦術の前では、既存政治の代表格との印象をぬぐい去れなかった。