2016年も残りわずか。今年ほど東京都の動向が注目されたことは、なかったかもしれない。舛添要一前知事の政治資金の公私混同に端を発した、小池百合子都知事の誕生。五輪会場問題は決着したが、他自治体を巻き込んだ費用負担の問題は、年をまたぐ。「小池劇場」は来年も波瀾(はらん)万丈が予想される。自然災害も後を絶たず、暮れも押し迫る中で、新潟・糸魚川市の大火が起きた。さまざまなことがあった1年を締めくくる、師走の言葉から-。

 デスクA 今月、いちばん印象的なのは小池知事の「黒い頭のねずみ」だ。

 記者A 五輪会場見直しで、最後に残ったバレーボール会場も従来案になりそうな雲行きだった2日の会見。経済誌の記者に「大山鳴動してねずみ1匹」と指摘され、「ちょっと、それは失礼なんじゃないですか」と、キレました。

 記者B 「ねずみどころか、大きな黒い頭のねずみがいっぱいいることが分かった。入札の方式はどうなんですか」と反論。窮地を「黒い頭のねずみ」の存在を認識させる場に変え、自分の土俵に持ち込んだ。ただでは転ばない(笑い)。

 記者C 見直しによる400億円削減は、都民としてはよかった。今やっておかないと、後でもっと混乱したかもしれない。

 デスクC バレー会場として新設される有明アリーナ周辺は、スポーツや音楽イベントを開ける施設を集めて一体開発するという。今後、どんな民間企業が参入の意思を示すか注目だ。

 記者D 日本武道館も、今ではコンサートでの使用機会が相当多いからね。

 記者B 音楽業界の団体が買えば、効率的な運用もできるんじゃないかな。

 デスクB 今後は、開催会場を抱える近隣自治体との間で、費用負担という新たな問題が出てきた。一難去って、また一難だ。

 記者C 競技開催に積極的に手を挙げた自治体もある。「レガシーはつくってほしいけれど、お金は出さない」というのは、少し都合がいいような気もする。

 記者A ただ招致の段階では、大会後に壊す仮設施設は組織委の負担としている。責任の押し付け合いにならなければいいが。

 デスクA 思えば、舛添氏の都知事辞任がなければ、五輪会場見直しも、豊洲移転延期もなかった。都政を混乱させた舛添氏の責任は、重い。

 記者B 五輪費用の削減が進まず、豊洲市場の地下に盛り土がないことも分からなかった。その意味で小池氏の仕事は評価できる。

 記者D 都知事になる直前の14年正月、「龍宮城スパホテル三日月」に泊まり、部屋から見える景色の写真をブログに投稿した。あんなことをしなければ…

 記者B どうみても家族旅行。政治資金報告書に書いちゃいけないよ。

 記者A 会見で公私混同を否定した時の言い訳が、とにかくすごかった。シルクの中国服を買った理由を聞いたら、「柔道をやっていて筋肉がある。背広は引っかかるが、中国服はツルッとしている」って…。

 記者C でも辞任会見は開かず、説明責任は果たされていない。説明するまで表舞台には出られないよ。

 記者A 小池知事には、舛添氏の問題をちゃんと検証してほしいと思う。

 記者B 「ホテル三日月」は問い合わせが殺到し、予約用回線がパンクしたとも聞いた。このホテルがいちばん、おいしかったのかもしれないね(笑い)。