昨年の東京都知事選に続き、小池百合子都知事(64)と自民党都連が分裂&激突する千代田区長選は29日、告示された。小池氏と「都議会のドン」内田茂氏(77)がそれぞれ支援する現職と新人が、事実上の一騎打ち。

 石川雅己氏(75)も自民都連も、「区長選でこんなに人が集まるのは初めて」と話す。両陣営の街頭演説には約1000人が集まった。注目の背景は昨年来の小池劇場に加え、小池氏VS自民都連による天王山、東京都議選(6月23日告示、7月2日投開票)の前哨戦に位置づけられるからだ。

 小池&石川陣営が勝てば、都知事選の勢いのまま都議選に突入できる。小池氏は都議選で、千代田区に自身に近い「刺客候補」を擁立する意向で、ドン追い落としを狙う。地域政党「都民ファーストの会」にも今回、初戦の勝敗がかかる。

 都連は小池氏に一矢報いる機会を狙うが、都政関係者は「結果は、内田氏の進退にも影響するだろう」とみる。内田氏は、今も都議選の党公認名簿に登載されておらず、区長選の結果を受けて判断するとみられる。都連最高顧問の深谷隆司氏も「内田氏が区長選に思いをかけているのは間違いない」。敗れれば求心力低下は否めず、会派内の動揺も拡大しそうだ。

 一方、小池氏との「完全決裂」を避けたい自民党本部は、二階俊博幹事長が「一義的には都連の問題」と答えて一定の距離を置くが、都議選や国政への影響を見据え、区議選の結果を注視する。小池氏と接近する公明党は自主投票だが、票の出方も、小池氏との連携に影響しそうだ。