2020年東京五輪のゴルフ会場で、女性の正会員を認めていない霞ケ関CC(埼玉県川越市)に対し、国際オリンピック委員会(IOC)が規則の変更を求めている問題で、同CCの正会員で日本ゴルフ協会(JGA)の永田圭司副会長(72)が日刊スポーツのインタビューに応じた。1度承認されたものが1月に突然、問題視され反発する会員がいる現状を明かし、JGAなどがIOCに対し、時間的猶予を求めていると語った。

 「時間がほしい」。JGA永田副会長らは霞ケ関CCが検討しやすくなるよう時間的猶予などを含め、IOCに理解を求めている。一方、IOCコーツ副会長は20日に「男女平等が実現しなければ会場を変えなければならない。変更するための時間は十分にある」などとプレッシャーをかけた。

 民間の霞ケ関CCは五輪会場に立候補したわけではない。招致段階でJGAなどの意見を踏まえ東京都の招致委員会から依頼を受けた。同CCは「正会員は男子」との細則も全て、都側に文書で渡している。しかし、招致委は国際ゴルフ連盟(IGF)やIOCへの英訳説明資料に、細則部分を記さなかった。

 昨秋以降、IGFのピーター・ドーソン会長が同CCのコース視察に訪れた際には「女性が多いね」と発言したほどだったという。それが一転、年が明け1月13日、小池百合子都知事が「女性を認めるべきだ」と苦言を呈してからIOCの態度が急変した。

 今月19日、同CCの理事らが正会員約200人に臨時の説明会を開催。しかし「なぜ外圧を受けなければいけないんだ」「協力しなくても良い」などと反論が目立った。正会員でもある永田氏は「無理もない」と理解を示した。招致時も「五輪が来てもプラスにはならない」と話す会員は多かったという。

 しかし、永田氏は会場選考過程で最も総合点が高かった同CCで五輪を開催する意義があると訴える。

 「今の五輪は『世界一を決める』ことに重きを置いているから、ふさわしい舞台を用意すべきだ。今のトッププレーヤーは皆、霞ケ関で育った。毎年日本ジュニアゴルフ選手権を開き、ゴルフ界の甲子園だ」

 年に1度行われる26日の同CC正会員による総会では細則変更に関する議決は取らない方針。組織委にとっては気をもむ状況だが、動向を見守るしかない。【三須一紀】

 ◆霞ケ関CC(カンツリー倶楽部) 埼玉県高麗郡霞ケ関村(現川越市)で1929年(昭4)オープン。同県で最初のゴルフ場。改造工事が32年に終わり、日本初の36ホールに拡充。57年に国際大会(カナダカップ)を日本初開催。1万3869ヤード、パー145。