日本維新の会代表の松井一郎大阪府知事は25日、森友学園への国有地売却に関する安倍晋三首相の対応を批判した。「どんどん油を注いでいるのは、皮肉にも総理。財務省近畿財務局の忖度(そんたく)があったと認めるのが一番だ」と述べた。首相と近い松井氏が、首相をやり玉に挙げるのは異例。23日に証人喚問された学園の籠池泰典氏から「はしごを外した」と酷評され続けた松井氏が、否定一辺倒の首相答弁に思わぬ逆襲をした形だ。

 松井氏は都内で開かれた党大会に出席。党大会や会見で森友問題に言及した。

 籠池氏が、首相や昭恵夫人の名前を使って財務省と国有地の売買交渉をしていたとの見方を示し、「財務省職員は忖度してサービス精神旺盛な対応をしたが、法律の範囲内だ。首相は忖度がないと強弁せず、丁寧に説明すべきだ」と指摘。 その上で「(手続きが)なぜスムーズに進んだのか。首相は、自分が知らないところで忖度があったと認めるのが一番だ」「忖度がないと強弁するから、こうなる」と主張。「この問題にどんどん油を注いでいるのは、皮肉にも安倍総理だ」と述べた。

 首相は、昭恵夫人とともに国有地売却に一切関与していないと明言。一方で籠池氏は、夫人を通じて首相から100万円の寄付を受けたと主張し、夫人担当だった政府職員が、籠池氏の要望を受けて財務省とやりとりした文書も表面化した。疑惑の深まりを受け、野党は昭恵夫人の証人喚問を求めるが、松井氏は「必要ない」と、否定した。

 一方、学園の小学校設置で、府私立学校審議会が「認可適当」と答申したことに関し、松井氏は「僕は何も言っていない」と火の粉を振り払い、「会長は私学を広げようという改革方針を受けて判断したと言っている。(首相も)そういう忖度があり得ると言えば国民は納得する」と語った。

 松井氏は、橋下徹前大阪市長とともに首相と会食する関係だけに、批判は異例。認可問題は、大阪側の責任が指摘されていることも影響した可能性がある。

 党大会でも「国会でショーが行われているが、参加させてもらえない松井が、一番悪いといわれる」と恨み節。松井氏にはしごを外されたと主張する籠池氏についても「会ったことも話したこともない人に、ここまで恨まれるのは、政治家冥利(みょうり)に尽きる」と皮肉った。

 党大会は、今夏の都議選に向けた決起大会の意味合いもあったが、公認予定者3人が辞退。森友問題も重なり、混乱が続いている。