将棋の最年少棋士、藤井聡太五段(15)が、第一人者で国民栄誉賞受賞の羽生善治2冠(47)を撃破した。17日、東京都内で行われた朝日杯オープン戦準決勝で初対局。藤井が先攻し、羽生が反撃に出るぎりぎりの熱戦も、最後は鮮やかな攻めで勝ちきった。

 国民栄誉賞授賞式後初めての対局となった羽生が、天才少年に黒星を喫した。対局中は劣勢に髪の毛をかきむしったり、頭を抱えるシーンも見られた。対局後は「ずっと難しい局面だった。微妙な局面で私の方がミスをしてしまった」と淡々と語った。

 非公式戦での対局から約1年。藤井について「しっかり落ち着いた指し回しで、安定感がある。時間が短い中、決勝でも1手1手冷静に指されていた」と評した。

 次代の将棋界を担う逸材に「これから先、大きな可能性を秘めている。10代は成長期。これからも伸びていくと思う」と期待。タイトル戦で戦う可能性について「藤井さんは将来必ずタイトル戦に出てくる方」とし、「私がそこにいるかは分かりませんが。そこが問題です」と笑わせた。若手が台頭する将棋界については「今までと同じやり方で通用するとは思っていない」と、気持ちを引き締めていた。