学校法人「加計学園」(岡山市)獣医学部新設をめぐる一連の問題について、加計学園の加計孝太郎理事長(66)が19日、岡山市内で会見を開いた。17年5月に問題が報じられ、発覚して以降、加計理事長が会見に応じるのは初めて。

 加計理事長は、愛媛県が5月に国会に提出した文書に、自身と安倍総理が「2015年2月25日に面談した」とする記載があった件について「記録を調べさせていただいたものの、3年以上前のものでしたので、記録もなく記憶もございません」と答えた。その件に関し、当時の担当者・渡辺良人事務局長が「(愛媛県に)誤解を招くようなことを言ったのは、ことを前に進めるための報告だった。国家戦略特区につきましては、法律の第三条にある自治体と事業者が密な関係でやりなさいとあるので、そうなった」とも答えた。

 国会の停滞を招いたことについては「多大な迷惑をおかけしました」と謝罪。そして、渡辺事務局長を減給10%(6カ月)の処分とし、自らも給与の10%を1年間、自主返納することを発表したが、自らの減俸処分を発表したが「理事長は続けようと思っております」と答えた。

 安倍首相との個人的な関係が影響したか? と問われると「それは、ございません」、「接触はございません」などと答えた。

 加計理事長は、安倍晋三首相が「腹心の友」と呼ぶ友人関係で、加計学園が4月に今治市に開校した岡山理科大学獣医学部について、行政上の手続きに関して「総理のご意向」と書かれた内部文書が流出するなど、決定過程の不透明さが指摘されている。

 愛媛県が5月に国会に提出した文書には、加計理事長と安倍総理が「2015年2月25日に面談した」とする記載があったが、加計学園と安倍首相は否定した。その後、加計学園側が「うその報告をしていた」と愛媛県などに謝罪した。

 安倍首相と加計学園との関係については、柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)が5月に衆院、参院の予算委員会に参考人招致された際、「総理ご自身がご答弁されたとおり、友人関係とは認識しておりました」と語っている。また柳沢氏は、2015年(平15)2~3月ごろ、加計学園事務局の方から面会の申し出があって、安倍晋三首相と一緒に会ったことを認めている。ただ、柳瀬氏は、自らが加計学園の件に関して「首相案件」と発言したことは否定している。