松井一郎大阪府知事(54)が26日、大阪府庁で定例会見を行った。

「暴露予告」していた大阪都構想を巡り、昨年4月、当時の公明党府本部幹事長の林啓二氏、大阪維新の会幹事長の今井豊氏が署名した合意書を公表した。

文書は17年4月17日に取り交わされ、「慎重かつ丁寧な議論を前提に今任期中で住民投票を実施する」などと記載されていた。松井氏は合意書が取り交わされた経緯を説明し、「今任期中」について「合意内容は議会の任期中と、こういうふうに我々としては捉えている」と主張。府議会と市議会の任期である来年4月までに住民投票を行うことを決めることに合意したと強調した。

一方で公明党は「今任期中」について来年秋の大阪知事、大阪市長の任期との認識を示しているが、松井氏はこの主張に真っ向から反論した。

公党間の交渉事の文書を「暴露」したことについて松井氏は「この合意書を表に出すことは、僕はないと思っていました。ずっと。でも今の法定協議会のあの雰囲気、そして公明党さんから我々に投げ返されたボール、これはもう取れないボールです。あまりにもひどいというか、約束をほごにした」と語気を荒らげ、「こういうときのために合意書を取ってた。お互いサインをして約束したわけですから、今回これを世の中の皆さんにお示しをして、この合意に対して、やはり責任ある政党ならこの合意書に基づいた対応をぜひしていただきたい」と要求した。

「橋下前市長時代から(公明党には)何度も煮え湯を飲まされてきた」「信義を守ってやってきた」。会見中、松井氏はまくしたてた。

大阪都構想の住民投票を巡り、言い分がまったく異なる維新と公明党。水面下の交渉内容を「暴露」したことにより対立のミゾは深くなった。

大阪都構想について改めて民意を問うため任期途中で辞職し、来春の統一地方選と同日の出直し知事選に挑むかどうかについて、松井氏は「ありとあらゆる可能性は排除しない。しかるべき時期にしかるべき対応をする」と明言を避けた。