内戦下のシリアでの3年以上の拘束から解放されたジャーナリスト安田純平さん(44)が26日、都内で、戦場取材の意義と自己責任論を考えるシンポジウムに出席した。
安田さんは拘束を「自己責任」などとバッシングされることについて「批判はいいが、事実関係だけははっきりするべきだ。批判の根拠になっている情報にはデマが多い」と、語った。安田さんは自己責任論を掲げて批判する人たちについて「事実なんてどうでもいいと思っている。そういう人には何を言っても通じない」とした。
また、拘束中に意識したことや得た教訓として「(拘束する)相手への対応も必要だが、日本社会への対応も必要だった」と主張。「解放されて大使館員に会った時、日本政府に感謝申し上げると、当事者に、はっきり言った。それをカメラの前でも言わなきゃいけない。表に分かるようにしないと、気が済まない人たちがいる」と問題提起。日本政府の助けを前提にしていると誤解されることを避けるため、拘束中にビデオを撮られる際などは「助けないでいい」というメッセージを込めたという。
安田さんは会場で集められた質問にも答えた。「ヒゲを伸ばし、いつも黒い服の理由は」との質問には「剃るのが面倒で伸びちゃってる。服は黒が好きなんです」と苦笑いする場面も。また「拘束中に拷問はあったのか」の問いには「物音を立ててはいけない。立てると部屋の外に別の人質を連れてきて拷問する。人を殴る蹴る、うめき声が聞こえる。自分が何かやったせいで人が追い詰められる。精神的なものが一番きつかった」と生々しい回答。集まった470人の聴衆から息をのむ声も漏れた。
今後の紛争取材については「(中国新疆)ウイグル(自治区)をやりたいと思っていたが、周囲から『何でやらないんだ』と言われ、ちょっとやりたくなくなった。これまでも事前には言わないし、決めていないです」と、肯定も否定もしなかった。
シンポジウムは、雑誌「創」編集部や、新聞・通信社の労働組合でつくる新聞労連などが主催した。

