自民党の福田達夫総務会長は29日の会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と同党所属議員との関係が取り沙汰されていることについて「正直に言う。何が問題か、僕はよく分からない」と述べた。追及する野党やメディアを念頭に不快感も表した。霊感商法などで批判を浴びる旧統一教会の政治関与を巡っては、国会議員を「広告塔」として利用することで社会問題化をかわす狙いがあるとの指摘が出ており、発言は議論を呼びそうだ。

福田氏は、自民党組織としては旧統一教会から政治的影響を受けていないとの認識を示した上で「(個々の議員との接点を)取り立てて『問題だ』と言うことが、本当に何か物事を良くするのか。僕は極めて疑問に思っている」と強調。「どんな意図でやっていらっしゃるのだろう」と野党やメディアに疑問を呈した。

旧統一教会関係者による国会議員の選挙応援については、自由意思に基づいている限り保障されるべきではないかとの考えを示した。「そういう方は一般市民ではないかというふうに申し上げている」とした。福田氏自身と旧統一教会とのつながりについては「全く関係がない」と説明した。

旧統一教会を巡っては複数の閣僚と自民党議員や、一部の野党議員が何らかの接点があったことを認めている。岸信夫防衛相は29日の会見で、旧統一教会がかつて霊感商法で社会問題化したことを認識した上で、教団メンバーから選挙ボランティアの申し出を受け入れていたと明らかにした。「それが正しかったのか検討し、今後は適切に判断、対処する」とも話した。選挙支援を受ければ教団の活動にお墨付きを与えたように受け止められるのではと問われると、影響が出るかどうかまでは考慮しなかったと説明。支持を呼びかける「電話作戦」程度なら問題ないと判断したという。 教団から献金を受けたり、行事に祝電を送ったりしたことはないとした。「1つ1つの教義について存じ上げているわけではないが、社会問題化し多大な被害を負っている方がおられるのは大変問題だ」とも語った。

一方、末松信介文科相は29日の会見で、15年に文化庁が認証した、旧統一教会の世界平和統一家庭連合への名称変更について「申請内容が要件を備えていることを確認して認証を行った。現時点で特定の政治家からの働きかけがあったものではないと聞いている」と述べた。旧統一教会は90年代から名称変更を希望したとされる。文化庁は文科省の外局で、認証当時の文科相は、自民党安倍派の下村博文前政調会長だった。