自民党総裁の岸田文雄首相は10日、脱「旧統一教会」を鮮明にした第2次岸田改造内閣を発表する。岸田氏は9日、長崎市で内閣改造と党役員人事を巡り、党所属議員が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を断つことが、人事の前提条件とすることを強調した。旧統一教会と接点が相次いで明るみとなり、政権、自民党批判のダメージを刷新人事で回避する狙いが浮き彫りとなった。

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岸田首相は旧統一教会との関係清算をアピールし、政権批判をかわす内閣改造、党役員人事を断行する。10日発表の刷新人事の最終調整を終えた岸田氏は9日、長崎市での記者会見で旧統一教会との関係について「自ら点検し、厳正に見直してもらうことが新閣僚や党役員の前提となる。徹底したい」と断言した。

すでに岸田氏は党内各派閥、グループと会談し、入閣待機リストを取りまとめた。党内融和とバランスを考慮して、要望を考慮する一方で任命後に旧統一教会との関係が発覚することがないよう個々の議員による厳しい「身体検査」を迫った。

自民党を中心に国会議員と教団のつながりが、相次いで明らかになる中で内閣支持率が急落するなど国民の反発は高まっている。9日付読売新聞でも岸田内閣支持率は参院選直後(7月11~12日)の65%から57%と8ポイント急落。今回の改造人事は当初9月上旬を想定していたが、さらなるダメージを回避するため、1カ月あまりも前倒しする事態に追い込まれた。

脱旧統一教会の人事は最終調整に入った。麻生太郎副総裁と茂木敏充幹事長は留任。故安倍晋三元首相の側近だった萩生田光一経産相を党政調会長に、総務会長には昨年の総裁選で岸田陣営の選対本部長を務めた遠藤利明選対委員長を起用が固まった。萩生田氏は党内最大派閥・安倍派の有力議員の1人でバランスも考慮。選対委員長には二階俊博前幹事長、菅義偉前首相と近い森山派の森山裕総務会長代行、高木毅国対委員長(安倍派)を留任させる方針で各派閥に配慮する。

閣僚人事も鈴木俊一財務相(麻生派)、林芳正外相(岸田派)、斉藤鉄夫国交相(公明)らが続投。河野太郎広報本部長(麻生派)のデジタル相や、旧統一教会問題で注目される文科相には永岡桂子元文部科学副大臣(麻生派)の起用が内定した。無派閥ながら菅前首相に近い三原じゅん子前厚労副相を抜てきする案も浮上するなど非主流派の起用も検討されるが、挙党態勢の改造人事で問題の火消しを急いだために目新しさはない。サプライズ人事がないのが、サプライズとなりそうだ。