高市早苗経済安全保障相は17日の参院内閣委員会で、15日の参院予算委員会で、「政治的公平」に関する総務省の行政文書をめぐる質問に「私を信用できないなら、もう質問はなさらないでください」と発言したことについて、発言を撤回するよう再三求められたが、撤回には応じなかった。

高市氏は15日、立憲民主党の杉尾秀哉氏とのやりとりの中で、この発言をしていた。しかし委員長は質問続行を杉尾氏に指示し、高市氏も答弁を続けた。

同党の塩村文夏参院議員から、発言について憲法にも違反すると指摘され、撤回を求められた高市氏は「杉尾さんから『(私の答弁が)信頼できない』といわれた。言論の府で、真摯(しんし)に質問され真摯に答弁する中で、私の答弁が信頼できないといわれると答弁しても信頼してもらえないことになるので、そのように答えた」と、当時の心境を説明。「国会に(質問通告で)呼ばれたら、公務より優先して出てきている。それはご理解ください」と訴えた。

塩村氏は、報道機関の世論調査で高市氏の答弁に納得できないとする回答が多かったことに触れ「杉尾さんも(答弁に)納得できないから、あのように言った」と述べ、あらためて撤回を求めたが、高市氏は「私はこれまで本件に関して質問をいただいたら、真摯にお答えしてきたつもりだが、すべてのきっちり説明する機会には恵まれていない」と持論を展開。杉尾氏に「もう質問なさらないで」と答弁した後も「質問を受けさせていただき、きちんと答弁をさせていただいた」「杉尾さんからいただいた質問には一生懸命答えた。それっきり質問をなさらない、答えないという状況をつくったとは考えていない」と訴えた。

塩村氏は「撤回した方がいいと思う。納得できない質問はあると思うが、『質問しないで』とおっしゃった方は見たことはない」と、高市氏の発言の異例さを指摘。「その中でも議論をしようというのが(委員会という)最低限の場だ。撤回していただけないということで残念だ」と述べた。

高市氏の発言に、同党の安住淳国対委員長は16日、「憲政史上例がない。初めて聞いた。(高市氏は)ちょっと感情的になっている」と指摘していた。