EXILEのフィジカルトレーナー、吉田輝幸氏が正しい体の使い方を伝授する「EXILEエクササイズ」。第29回のテーマは「正しい姿勢」です。男性に多い「猫背」にも、女性に多い「反り腰」にも共通するのは腹筋のインナーマッスルが鍛えられていないこと。では、どうすればいいのか?

 特効薬として、おなかをへこませるだけ!

 という「ドローイン」を紹介します。

 正しい姿勢は、真横から見た際に耳から肩、腰骨、膝、くるぶしまでのラインが一直線。この姿勢ができていないと、運動をしても効果が半減だったり、体の故障に結びついてしまう。

 吉田氏

 男性だと猫背。女性だと反り腰の人が多いですよね。猫背の人が急に走りだしても「ピュッ」という感じにはならないし、反り腰の人も、そのまま走るとすごく不格好になります。見た目だけじゃありません。皇居を走っているような市民ランナーでも、10キロぐらい走ると足が痛くなる人がいます。体力不足やトレーニング不足以前に、姿勢の悪さが原因ということが、結構あるんです。

 では、正しい姿勢を身につけるにはどうするか。鍵を握るのは、腹筋のインナーマッスルという。

 吉田氏

 腰痛の人がよくコルセットベルトをしているでしょう。ベルトのおかげで、姿勢が良くなって痛みが軽減される。なぜか?

 それは腹筋の圧力を高めるからなんです。腹圧と言います。ベルトで締めると、腹圧が高まって背骨にかかる負担が少なくなる。背骨に負担がかからなくなると、背骨のS字カーブが正しく作られるんです。

 本来、「腹圧のコルセット」は自分自身の筋肉でできないといけないもの。それができないから「ベルト」という外部の力を借りてしまう。何とか自分の力で姿勢を良くしたい。そのために、吉田氏は腹圧を高めることで体幹を安定させる「ドローイン」トレーニングを勧める。

 吉田氏

 まず、両膝を立てて、あおむけになってください。両手を肋骨(ろっこつ)の上に軽く乗せた姿勢で、背中は床にピッタリとくっつけます。おなかをへこませる感じにすると、うまくできますよ(写真1)。おなかをへこませる際は自分の中の最大限まで。イメージとしては、きついズボンを何とかギュッとはく感覚です。悪い例は腰が浮いてしまうケース。手のひらがすかすかに入ってしまう人もいます(写真2)。ドローインをしながらこの状態だと、おなかの筋肉がほとんど使われていません。すご~く地味なトレーニングですが、反り腰などの悪い姿勢を矯正するのに効果抜群です。

 第29回<2>につづく。【取材・構成=松本久】

 [2014年4月25日17時55分](2)ドローインの悪い姿勢

 腰が浮いてしまう。手のひらが入ってしまう人もいる