ミックファイアの無敗3冠制覇、セレクションセールで“1億円超え”の衝撃落札…、日本のダート競馬&生産界で歴史的な成功をおさめた種牡馬シニスターミニスター(牡20)はどのように日本へやってきたのか-。導入当初の評判から現在の地位を築き上げるまで、そして、将来の展望を連載「邪悪な大臣シニスターミニスターの成功物語」で取り上げる。第4回は「産駒活躍と高額落札の連鎖」。種付け頭数が増え、産駒の活躍にともない、導入を決めた有限会社アロースタッド(北海道新ひだか町)の岡田隆寛代表も驚くほど、その評価は上がっている。【特別取材班】

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12年に51頭まで減ったシニスターミニスターの種付け頭数は13年に76頭へ、14年に117頭へ増えた。15年は80頭と落ち着いたものの、16年以降は100頭以上をキープしている。08年に150万円でスタートした種付け料は12年に70万円、13年に50万円まで下がったが、14年に80万円に戻すと、18年に200万円、21年に250万円、22年に350万円と右肩上がりに上昇し、今年は500万円という設定になった。

「繁殖牝馬のレベルは確実に上がってきていると思います。特にこの3歳、4歳世代は繁殖のレベルが上がったという実感がありました」。

G1を勝つ大物も現れた。9世代目の産駒、17年生まれのテーオーケインズは21年に帝王賞、チャンピオンズCを圧勝し、JRAの最優秀ダートホースに輝いた。4歳世代はドライスタウトが全日本2歳優駿を制し、3歳世代からは無敗で南関東3冠馬に輝いたミックファイアが登場した。先日新潟で行われたレパードSはライオットガールが牝馬としては13年ぶりの歴史的な勝利を挙げている。

サウジCやドバイワールドCという超高額賞金競走の存在があり、来年からは3歳ダートクラシック3冠競走が行われる。番組が充実し、ダート馬の評価が上がっていくなかで、自然とシニスターミニスター産駒はセールの目玉的な存在になってきた。7月に行われたセレクションセールでは、初日、上場番号84番のカリーニョミノルの22(牡)が1500万円からセリがスタートし、9400万円(税抜き)で落札された。消費税込みだと、1億340万円。シニスターミニスター産駒による衝撃の“1億円超え”だった。

大物産駒の登場と高額落札は連鎖する。「今、ダート馬の評価が見直されてきています。(セレクションセールの超高額落札は)信じられないです。種付け料が50万円だった年もありましたから。サマーセールでも“シニスター旋風”が吹き荒れるのではないでしょうか」。

今年の南関東3冠を制したミックファイアは一昨年のサマーセールで落札された。落札額は500万円(税抜き)だった。札幌記念(G2、芝2000メートル、20日)の翌日に始まる今年のサマーセール(21日から25日までの5日間、新ひだか町の北海道市場で開催)のカタログにはシニスターミニスター産駒が19頭掲載されている。

(つづく)