手前に見える霜柱のようなビル群の中を抜けての着陸になります。空港はやや右前方です
手前に見える霜柱のようなビル群の中を抜けての着陸になります。空港はやや右前方です

サンパウロのコンゴーニャス空港

 半年ぶりに、再びニッチのお話です。以前、リオ・デ・ジャネイロのSantos Dumont空港についてのお話を覚えていますでしょうか? 1300メートルという超短い滑走路で飛行機が離着陸する迫力満点の空港でしたよね! 離陸直後、岩肌に激突するのではないかとハラハラしましたが(実際はちゃんと距離があります)、それ以上に景色がきれいすぎたのが印象的でした。

 さて、サンパウロのAeroporto de Congonhas(アエロポルト・デ・コンゴーニャス。コンゴーニャス空港)も負けていません! それも、ちっこいのに半端ではない交通量です。

 コンゴーニャス空港は、160万平方メートルの土地に小さな滑走がふたつあります。年間1800万人以上の乗降客がいます。

窓から見ると…針のムシロ? いや高層マンション群です
窓から見ると…針のムシロ? いや高層マンション群です

羽田の4分の1の利用客

 ちょっと比べてみますが、日本一の離発着を誇る羽田空港は年間6700万人弱の利用客がいます。でも土地が1450万平方メートルで、長い滑走路が4本。ご存じのよう、ほとんどが大型航空機で、国際線もどんどん増えています。つまり、9分の1の土地に短い滑走路(=小さめの飛行機)、そして国内線のみだけで羽田の4分の1の乗客をハンドリングしているわけです。

綺麗な景色ですよね。街がすぐ下に見えてきます。空港が小さいのがよくわかります
綺麗な景色ですよね。街がすぐ下に見えてきます。空港が小さいのがよくわかります
狭い空港、短い滑走路とはいえ、このショットは広く見えます
狭い空港、短い滑走路とはいえ、このショットは広く見えます

 エッ!? 自慢? 違いますよ~。実は大問題なんです。もともと1936年に建設された頃は、周囲はすべて野原でした。でもサンパウロの街が大きくなると同時に、空港周辺に建設ラッシュが起こりました。それも家とかではなく、高いマンションです。おかげで今ではコンクリートジャングルの中に浮いている航空母艦みたいな感じになりました。

ビルにぶつかりそう怖い怖い

 ですので、この空港に降りるときに窓から見るとビルにぶつかりそうなんですよ。怖い怖い!(笑い。エッ!? 笑いごとではない)。実際、マンションの住民はかなり騒音に対してクレームを出しているようです。でも実際に空港が先に存在していたものだし…なんともならないみたいです。

翼と翼の間が近いです。やっぱり小さな飛行場なのですね
翼と翼の間が近いです。やっぱり小さな飛行場なのですね

 で、こんなギリギリの場所ですので、事故はつきものです。1996年に飛行機が離陸失敗で、住民の家に突っ込み火災。2007年には着陸の際に飛行機がオーバーランして、その先にあったガソリンポストに激突で大爆発。ハイ、多くの死者が出ました。

着陸が最も危ない空港のひとつに

 ちなみに、この飛行場は「世界で着陸が最も危ない空港25」のひとつに名を連ねています。絶対に名誉ではないですけどね(苦笑)。それでも、できる限り安全対策に努め、今でも毎日536便がコンゴーニャス空港を使用しています。つまり2分おきに飛行機が離陸か着陸をしているんですね。皆さんも、サンパウロにお寄りの際には是非! スリリングであることは約束しますよ!!(ブラジル・サンパウロからアレックスでした。動画と写真も)

リニューアルした空港内にはモダンなデザインが多く、僕は気に入っています
リニューアルした空港内にはモダンなデザインが多く、僕は気に入っています