「第41回G杯争奪全日本アユ釣り選手権」(主催・(株)がまかつ、共催・GAMAKATSU PTE LTD)が6日、高知県・仁淀川で地区予選を勝ち上がった45選手(シード、推薦を含む)が参加して行われた。決勝戦は、8選手が午前10時45分から2時間、黒瀬で戦い、初出場の西部俊希選手(25=長良川)が、オモリと背バリを使った得意の引き釣りで27匹(オトリ2匹込み)追わせ、2位の長谷川勇太選手(31=長良川)に5匹差をつけ見事、優勝した。3位には楠本慎也選手(43=日置川)が入った。

 若いニューヒーローが誕生した!「めちゃくちゃ楽しかった」。初の全国大会決勝の大舞台でも、物おじすることなく西部選手がまっ黄色な海産アユを次々にタモに飛ばした。

 雨で水位が増していくタフな条件だったが、ポイント選びが光った。狙ったのは薄い茶色をした石で、残りアカがあり、新アカが付きだした分流の右岸。予選(黒瀬)を28匹(オトリ4匹込み)でトップ通過すると決勝でも同じポイントへ。

 G杯の覇者2人(前年度優勝・廣岡昭典選手、37回大会優勝・楠本選手)ら、つわものたちが、しのぎを削る激戦となったが、何ら臆することなくコンスタントに野アユを掛け続けた。

 攻め方は「1カ所でばたばたと掛かる感じではなかったので、オトリを止めないようにして野アユの反応をみながら釣った」というベタザオの引き釣り。

 背バリとオモリ、長めの水中糸(複合メタル6メートル)で押しの強い底流れをしっかりとらえ、ハリも小まめに交換し、海産アユの強烈な追い、引きに対応。最下流の荒瀬へ果敢に立ち込み、勝負をかける楠本選手や最上流の長谷川選手らが猛追する中、扇状に中州のタナや、流芯を攻め、終始リードをキープ。特に後半はゾーンにはまったような見事な瀬釣りで次々に竿を曲げ後続を振り切った。

 友釣りは祖父(三郎さん=81)と父(春美さん=55)から教わったもので筋金入り。実家の裏を流れる長良川支流・津保川で8歳から野アユのアタリ、引きに没頭。「オトリを操作し、野アユを掛ける独特の感覚がたまらなかった」と振り返る。

 今ではライバルとなった春美さんが、今回は息子の晴れ舞台を運転手としてサポート。「試釣りでいい感触をつかんでいたが、まさか優勝するとは…。来年は私も出場し、同じ舞台で戦ってみたい」と親子で表彰台を目指す夢を膨らませた。

 福田眞也審査委員長からは「若い選手の先頭に立って、アユ釣りを盛り上げていってほしい。ますます腕を磨いて来年も頑張ってください」と世代交代に期待を込めた祝福の言葉が贈られた。【近江康輔】

 ◆西部俊希(にしぶ・としき)1991年12月31日生まれ、25歳。岐阜県関市在住。会社員。アユ釣り歴17年。中部長友会所属。ホームグラウンドは長良川。