睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、21世紀の「国民病」あるいは「現代病」とも言われます。これは睡眠時に呼吸が止まってしまう病気です。睡眠がしっかり取れないため、睡眠不足や生活習慣病のリスクが高まります。

 日本のSAS潜在患者は、治療が必要な重症度の方に限定しても300万人以上と推計されています。しかし、実際に治療している患者は20数万人です。

 「10秒以上の気流停止(気道の空気の流れが止まった状態)を無呼吸とし、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、もしくは1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸」と定義されています。

 SASの特徴は、いびきをかく、いびきが止まり、大きな呼吸とともに再びいびきをかき始める、呼吸が止まる、呼吸が乱れる、息苦しさを感じる、むせる、何度も目が覚める、寝汗をかくなどがあります。

 睡眠が十分でないため、日中の強い眠気や倦怠(けんたい)感、集中力低下、頭痛などの症状がみられます。

 たばこがやめられない、お酒が好きで寝酒が習慣化している、太り気味、高血圧、糖尿病、高脂血症などの既往がある方はSASになりやすい傾向があります。

 高血圧とSASとの関連性も指摘されています。SASは心不全や不整脈などの心疾患、脳卒中、糖尿病などのリスクが2~4倍にもなると言われています。

 SAS予防策を紹介しましょう。

 ●適正体重の維持

 ●習慣的な寝酒を避ける

 ●鼻呼吸を心がける

 ●睡眠薬の自己服用を避ける

 ●寝る時の姿勢を横向きにする

 SASは自分で気がつきにくいので、家族の方に、寝ている時に呼吸が止まっていないかチェックしてもらいましょう。

 ◆真鍋歩(まなべ・あゆむ)医師・医学博士。1984年(昭59)7月6日生まれ、東京都出身。日大医学部卒。専門は眼科。現在、日大病院眼科研究医員として臨床・研究に従事しながら、メドピアグループが提供するオンライン医療相談サービス「first call」運営に参画。自身も同サービスで健康相談に応じる。