球春到来。阪神の春季キャンプ地である沖縄・宜野座にできた“傷痕”は修復されていた。バックスクリーンを見つめると、真新しい記憶が鮮明によみがえる。宜野座村を悩ませた犯人は、昨季に阪神でプレーしたウィリン・ロサリオ内野手だった。

ガシャンッ! ロサリオがぶっ飛ばした打球がバックスクリーンに突き刺さった。白球は高い放物線を描き、風にも乗ってバックスクリーン上部を直撃。すると表示されていた「阪神タイガース」の「イ」の下部の液晶が壊れ、ライトが消滅した。ロサリオ伝説の極致ともいえる電光掲示板の破壊だ。金本前監督も「電気、ついてないん? 壊れたん? 」とバックスクリーンを確認。「145…。色をつけて150!」と150メートル弾を認定したほどだった。

ロサリオの一撃に困ったのは宜野座村役場だ。破壊弾の情報が入ると緊急会議を開き、修理を決定。13年に完成したばかりの電光掲示板には総額1億2000万円がかかったそうだが、担当者は「お金のこと(費用)はまだ決まっていませんが…」と心配そうに話していた。

ただ、着地点は意外? にも近かった。担当者は「修理にお金がかかると思っていたのですが、確認でスコアボードの裏側を見てもらうと、すぐに直ったんです。(コードが)パカっと外れていて、それをはめ込むだけでよかったので…。だから修理は0円だったんです」と笑顔で説明した。

宜野座村に衝撃を走らせたロサリオは昨季限りで退団。今季は新助っ人としてメジャー通算30発のジェフリー・マルテ内野手(27=エンゼルス)が虎にやってきた。外国人助っ人を含めた開幕1軍への猛烈なサバイバルが、そろそろ始まるで~。【阪神担当 真柴健】