トランプ前米大統領が4月下旬、パレスチナ自治区ガザ情勢を巡る全米の学生デモと比べれば、2017年に南部バージニア州で極右の白人至上主義者と人種差別反対派が衝突した事件は「ささいなことだ」と述べ、事件を矮小(わいしょう)化する発言だとして波紋を広げている。

事件当時大統領だった共和党のトランプ氏は白人至上主義者を非難せずに批判を浴び、民主党のバイデン大統領からも追及され続けている。バイデン氏のガザ対応に抗議する学生デモの方が深刻だと主張することで、再対決となる11月の大統領選に向け自身の言動を正当化しようとしている。

事件は17年8月、バージニア州シャーロッツビルで発生。白人至上主義者と反対派が衝突し、反対派の女性がネオナチに傾倒する男の暴走車にはねられて死亡した。トランプ氏は当時「双方に良い人がいる」と述べた。

トランプ氏は、先月25日、事件について、全米各地で広がる学生デモとは「比べものにならない。当時の憎悪は、今直面する憎悪ほどではない」とニューヨークで記者団に語った。

バイデン氏は前回大統領選への出馬理由としてトランプ氏の事件対応を挙げた経緯がある。ホワイトハウスのベーツ副報道官は「シャーロッツビルで起きた白人至上主義の憎悪を軽視するのは不快であり、分断を招く」と批判した。(共同)