【第40回】
親が受け止める姿勢見せる
性同一性障害(3)
「高校生の娘のことですが、昔から体もがっしりして毛深く男の子っぽい遊びが好きでした。最近は表情が暗く、女性であることを嫌がっているようなことを言ったりして心配です。もしかしたら性同一性障害というのではないかと…」。虎井まさ衛氏は自らが性転換手術を受けた当事者として、性同一性障害者・研究者・支援者のためのミニコミ誌「FMT日本」を主宰し、性同一性障害に悩む人々からの相談に応じている。
親からの相談もたくさん寄せられている。「お母さんからの相談が多い。母親というのは、戸惑ってはいても子どもの幸せを願って、性別にかかわらず、わが子を全面的に受け入れる存在なのですね」と虎井氏。もし子どもが「性同一性障害ではないか」と思われる言動をした時にも「あなたは性同一性障害なんじゃないの」というような単刀直入な聞き方はせずに、それに関する本や情報などをさり気なく家の中に置くような配慮が大切だいう。
また、子どもが「性別に違和感が強い」と訴えてきた場合、「一時の気の迷い」「恋でもすれば忘れるでしょう」「スポーツに打ち込んでつまらないことを考えるのはやめなさい」というような安易で乱暴な受け答えは「子どもが傷つくのでやめましょう」と虎井氏は忠告する。一過性の悩みである場合もあるが、最初から真剣に聞いてあげるという姿勢が長い目で見て重要なのだという。
「性別がどちらであっても、何があっても、私はいつでもあなたのすべてを受け止めて、味方になってあげる存在なのだ」というメッセージを、親が送り続けることで子どもは安心し、心を開いていく。性同一性障害に詳しい精神科医の針間克己医師も「家庭の中でも、親が性同一性障害の人々や同性愛者など性的に少数派の人たちについて、汚い言葉で否定したり、やゆするような言い方は、しない方がいい。もしかしたらわが子や、その友人がこの悩みを抱えているかもしれません。性的な問題はそれが表に現れてこない分、日ごろからデリケートな配慮が必要です」とアドバイスする。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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