【第143回】
50歳超えたらPSA検査
前立腺がん(上)
前立腺がんの死亡者が1990年に3460人だったのが、03年には8418人と2・5倍に増加。当然、罹患(りかん)者も増えており、今日、3万7000人を超えていると推測されており、乳がんの3万5000人と似通った人数になっている。
なぜこれほど前立腺がんが増加するのか−。癌研有明病院(東京・江東区)泌尿器科の福井巌部長(61=副院長)は要因として以下の3点を挙げた。
<1>日本人の高齢化 前立腺がんは高齢者の病気。50歳以下では極めて少ない。「年をとるに従って等比級数的に増えていきます」。他の多くのがんが60代などにピークがくるのと異なっている。
<2>「PSA(前立腺特異抗原)」検査の普及 「前立腺がんのマーカーであるPSAの測定が健康診断、人間ドック、開業医の先生方も気にして行っていただけるので、前立腺がんがどんどん発見されているのです」。
<3>食生活の欧米化 前立腺がんと脂肪の摂取量には大きな関係があるといわれ、日本人も脂肪の摂取量が増え、欧米とよく似た食生活になった。
PSA検査以外で、最も多く発見される機会は、前立腺肥大症で泌尿器科を受診したときだ。前立腺肥大症と前立腺がんが合併しているケースが多い。前立腺肥大症ががんの原因になっているのではなく、どちらも高齢者の病気だからである。
「前立腺肥大症とがんはできる場所が異なります。肥大症は前立腺の移行域、いわゆる内腺が肥大する病気です。一方、前立腺がんは辺縁域、中心域という、いわゆる外腺にできます。肥大症は早くから夜間頻尿などの症状がでますが、前立腺がんは進行しないと症状は出ません」。
夜間頻尿などの排尿障害の症状のあるなしにかかわらず、50歳を超えたらPSA検査を受けるべきである。
▼前立腺 前立腺は男性にだけある臓器で精液の一部の前立腺液を分泌している。膀胱(ぼうこう)の出口で尿道を包むようにある。大きさはクルミくらいである。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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