レスリングの常識が変わった!女性コーチ1号誕生

清水コーチ(右)は、女子選手の練習相手を務める(撮影・中島郁夫)
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来年のアテネ五輪全4階級で金メダル有望の女子レスリング界に、地殻変動が起こった。男性上位社会で、女性コーチ第1号が誕生。元全日本チャンピオンの清水真理子(29=群馬県協会)が、25日開幕の静岡秋季国体で群馬県少年男子を統率する。将来は女子の普及強化の切り札と期待されている。女子レスリングが日本に生まれて来年で区切りの20年。創成期を支えた女性が新風を吹き込む。
レスリング界の常識を覆し、女性コーチが誕生した。格闘技は力の強い男性上位が当たり前。日本体育協会が認定するレスリング指導者ライセンスを取得した女性もいなかった。だが全日本選手権5回優勝を誇る清水が、風穴をあけた。国体で群馬代表を率いる。「話が来た時はうれしかった。名誉に思うと同時に責任の重大さを感じる」と武者震いした。
今回は少年男子を率いるが、県協会では近い将来に女子部を立ち上げ、女子の普及強化を清水に一任する青写真を描いている。「そのために群馬に帰ってきた。恩返ししたい。女子の競技人数を増やして、合宿や遠征に連れていきたい」と目を輝かせた。
女子レスリングはアテネ五輪から正式種目に採用された。世界選手権2位など輝かしい実績を誇る清水だが、この決定は遅すぎた。29歳。選手としてのピークは過ぎた。指導者の才能を発揮し始めた清水に、声がかかった。
教え子の松本隆太郎(館林高3年)が全国高校グレコ選手権で圧倒的な強さで優勝。清水は3年間ほぼ毎日、松本のスパーリングパートナーとして共に汗を流し、アドバイスを送った。
54キロ級に出場する松本は、代表9人の中でも最も優勝の可能性が高い。指導のコツは「生徒をよく見てあげること」。選手の体調の変化を察知し、体調や大会スケジュールを考慮して日々の練習メニューを組む。また自分がナショナルチームで細かい指導を受けられずに不満が募った時期を振り返り、腕の使い方や体重移動など実戦的なテクニックを伝授するよう心がけている。指導者、しかも女性指導者の育成は日本レスリング界でも画期的なできごと。かなわなかった五輪の夢は教え子に託す清水の成長が、日本のさらなる強化につながる。【岡山俊明】
◆清水真理子(しみず・まりこ) 1974年(昭和49年)5月4日、群馬県富岡市生まれ。富岡南中−富岡東高−東洋大。群馬県協会所属。幼稚園時に2人の兄の影響でレスリングを始め、恩師と慕う佐藤正樹コーチに中学、高校でマンツーマン指導を受ける。大学卒業後は英語科教諭として教べんを執りながら、埼玉栄高、館林高で指導。全日本選手権5回、クイーンズカップ8回、アジア選手権1回優勝。97、99年世界選手権2位。家族は両親に兄2人。
◆女子レスリングの歴史 80年代に欧州の一部で盛んになり、日本では84年から普及に本腰を入れた。85年に大島和子がアマチュア女子レスラー第1号としてフランスの国際大会に出場。87年に第1回全日本女子選手権が開催された。
進出遅れる格闘系
◆他競技の女性指導者 日本体育協会のA〜C級ライセンス取得者は約10万人(4月1日現在)で、女性の割合は3割に達する。ただし格闘技系は遅れており、レスリングが男50人に対して女0、ボクシングが104対0、柔道404対23、空手3490対216と少ない。五輪関連ではソフトボールの宇津木妙子監督、水泳シンクロの井村雅代コーチが優れたリーダーシップでメダルに貢献。高校野球では00年に千葉・多古高に小原満里子監督が就任し02年夏の県予選で初勝利を挙げた。
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