<08年北京&12年ロンドン大会 ビーチバレー日本代表 衆議院議員 朝日健太郎(41)>

 ビーチバレー日本代表として08年北京、12年ロンドンと2大会、経験した五輪を、リオデジャネイロで初めて外から見ました。競技場は仮設の上、高速道路の上にやぐらみたいな橋を組んでいたり…。到着直後は、日本のインフラのレベルからすれば「これでいいのか?」と驚きました。

 ただ現地で6日間、視察する中で、競技を行うフィールド部分は成立しており、選手は五輪に値するパフォーマンスを発揮できていたと感じました。プールの水質や選手村の宿舎などに一部、問題はあったようですが、競技場は仮設でも良かったと思います。常設にするより、取り壊せる方が圧倒的にコストは安いです。南米初の五輪…日本にとっての64年東京五輪的な位置付けだと見れば、リオ五輪は大成功だと思います。

 リオや北京五輪は、開催国が国際社会において国威をアピールする一面もあったでしょう。一方、ロンドンは、そこから先の局面…コンパクトな運営、文化の紹介を含めた多様性、そこから社会、教育にまで及ぶ五輪だったと思います。20年東京五輪は、コストと安全面のバランスをどう取っていくかとともに、ロンドン以上に先の局面を求められる大会になるでしょう。

 リオで最多41個のメダルを獲得したことを受けての東京…日本は重圧に弱いといわれてきましたが、重圧とか言っていてはダメだと思います。選手の人としての部分が、どう成長するかも問われるでしょう。個人的には、科学技術がどう影響するかに関心があります。人間がどう進化するか…競技力の次元がかなり上がり、世界記録が連発される可能性があるとみています。一方で、東京の夏の暑さ対策という課題もあります。科学技術だけではどうしようもない部分もある。競技を行う時間などを考える必要もあると思います。

 リオで印象的だったのは、聖火台を競技場の外の市街地に置くことで街中も、にぎやかだったこと。五輪期間中、開催地でも競技場から少し離れれば、普段と変わらぬ日常生活が営まれていますが、おらが町に来た五輪の聖火があるからと人が集まっていました。20年東京五輪では、五輪にちなんで5つに聖火を分けて、都内の広い範囲に点在させてもいいのかな、と思います。競技場から遠い地域にも聖火を置き、聖火パークみたいのを造って、2週間ずっと人が足を向けて、そこで、いろいろなものが展開されれば…。聖火が一番、分かりやすいんです。


(2016年9月21日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。