リオデジャネイロ五輪で初めて結成された「難民五輪選手団」のうち4選手が30日、メインプレスセンターで記者会見し、シリアからドイツに逃れた競泳女子のユスラ・マルディニ選手(18)は「世界にいる難民の代表、希望の代表として全力を尽くしたい」と力を込めて話した。

 国際オリンピック委員会(IOC)は五輪に出場できる可能性がありながら内戦などで祖国を追われた選手を支援し、10人が特別参加する。同じようにシリアからベルギーに渡った競泳男子のラミ・アニス選手(25)は「苦難の中、ここまで来た。4年後の東京五輪は自国の代表として出場したい」と、母国の混乱の終結を願った。

 紛争のコンゴ(旧ザイール)からブラジルに逃れた柔道選手で、男子90キロ級のポポル・ミセンガ選手(24)は、生き別れた兄弟を思い「テレビで見て自分と気付いてくれれば」と涙を流した。女子70キロ級のヨランデ・ブカサ・マビカ選手(28)は「選手団は家族のようなもの。集中して闘いたい」と述べた。

 団長を務める女子マラソンの元世界記録保持者、ケニアのテグラ・ロルーペさん(43)は「国は破綻しても彼らの人間として、スポーツ選手としての精神は失われない」と意義を強調した。