東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)の発言が女性蔑視と批判されている問題で、大会会場でボランティアをする学生団体「おりがみ」代表の都築則彦さん(26=千葉大大学院在学)が5日、日刊スポーツの取材に応じた。

今回の発言に憤りを覚えた一方で、森会長個人に終わらず日本社会の問題ととらえ、性差別のない社会を真剣に目指す機会にしてほしいと訴えた。

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大会ボランティアとして車いすテニス会場運営を担う都築さんは、2度目の東京五輪を盛り上げたい一心で活動してきた。14年8月に立ち上げた学生団体は関東近郊の40大学から計230人が集まり、パラリンピック競技の体験会などを行い機運を盛り上げてきた。自身では千葉県内の聖火リレーランナーにも選ばれ「自国で開催するなら、最大限エンジョイしたいと思っていました」と語る。

新型コロナウイルスによる東京大会1年延期にも落ち込むことはなかった。コロナの終息が見通せず開催自体が不安視される中でも、来るべき時に備えて準備した。

そんな矢先、森会長が今月3日の日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」との発言を聞いた。都築さんは「なぜ令和の時代にこんな発言が飛び出したのかあきれました。組織委員会のトップとしての危機管理能力の無さに対して、当初はとても怒りを覚えました」と振り返る。ただ、その後、友人たちと話すうちに少し考えが変わった。

都築さんは「今の社会は『男女平等』を掲げていますけど、きれい事を並べているだけで全然そうじゃない」。森会長の発言は、それを露見させた。当人を厳しく批判するのは簡単だが、大事なのはいかに考え方をアップデートしていくかだ。「オリンピック憲章には男女平等やマイノリティーに配慮することなど目指すべき社会が書かれています。各大会ごとにどういう社会が理想的な姿なのか。いま1度点検する機会にすることこそが、五輪が残す良いレガシー(遺産)になると思っています」と力説する。

東京五輪への魅力は色あせない。「森会長のためにボランティアをやっているわけではないですから。僕自身は変わりません」と力強く語った。【平山連】

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