東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)が4日、都内で報道陣の取材に応じ、辞任を否定した。前日3日に日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言した問題について謝罪。その上で「辞任する考えはありません」と職を全うする意向を示した。以下、森会長の会見全文。

-冒頭発言

森会長 この中には昨日、JOCの理事会のあとで私がごあいさつしました、それをお聞きになられた方々がおられると思うので、これ以上詳細なことは申し上げません。お集まりいただき、大変ご心配いただいていることに恐縮しております。昨日のJOC評議員会での発言につきましては、五輪パラリンピックの精神に反するものだと不適切な表現だったと認識している。そのことにまず深く反省している。そして発言した件については撤回したい。不愉快な思いをさせた皆様にはおわびを申し上げたい。五輪パラリンピックにおいても、男女平等が明確にうたわれている。アスリートも組織委スタッフも多くの女性が活躍していて、大変感謝している。私どもの組織委員会のことを申し上げたわけじゃないことは皆さんもご承知のとおり。この組織委員会については円満に、うまくいっている中で申し上げた、ことも聞いておられたと思う。大会まであと半年となり、関係者一同、一生懸命がんばっておられます。そのなかで、その責任者である私が皆さんのお仕事に支障があるようなことになってはいけないと考えて、おわびして、訂正、撤回すると申し上げたわけです。世界のアスリートを受け入れるために国民、IOC、IPCはじめ、国際的な関係者にとっては、五輪パラリンピック精神にもとづいた大会が開催できるように、引き続き献身、努力していきたい

-国内外のメディアから批判。辞任の考えは

森会長 辞任するという考えはありません。私は一生懸命、こう献身的にお手伝いして7年間やってきた。自分からどうしようという気持ちはない。皆さんから邪魔だと言われれば、おっしゃるとおり、老害、粗大ごみになったのかもしれませんから、そしたら、掃いてもらえればいいのでは

-IOCは男女平等を掲げている。日本もジェンダーバランスを平等にしていこうという中での発言。世界にどんなふうに説明していきたいか。

森会長 これ以上のことを申し上げても誤解が誤解を生むし、必ずしも今そこに、いつも来ていた皆さんと違う方もおられて、よく分からないところもあるが、私は組織委員会の理事会に出たわけではない。JOC評議委員会で名誉委員という立場であいさつした。どうも組織委員会の理事会と一緒にしておられる方、とくに外国はそれを一緒にされるかもしれないが、それは皆さんの報道の仕方。あくまでもJOCの評議員会に出て私はあいさつした。そのひとつは、山下さんは、今度の改革はとても大きな改革で、JOC理事会の改革をされるのに大変な苦労されて、最初から理事会から相当な突き上げくったりして、難航しておられると相談があったので、頑張れと言った。ですから山下さんの最初の大きな仕事、もっとも成功してもらわなければならないことは人事のことでしたから、そのことはよくできたということを私は評価し、そして山下さんにお礼を申し上げるということをそこで発言した。いわゆる政府から来ている(スポーツ団体)ガバナンス(コード)に対しては、あまり数字のところにこだわるとなかなか運営が難しくなることもありますよと。そういう中で、私の知っている理事会の話を少し引用して、ああいう発言になったということ

-女性のお話が長いという発言は、ラグビー協会の特定の女性理事を念頭に置いたものか。

森会長 一切頭にないし、ラグビー協会の理事会で誰がどういう人が理事で、誰が話したとかというのは一切聞いていない

-発言についてIOCから真偽の問い合わせは。

森会長 私は分かりませんが。職員は毎日、今日もこれから向こうの夜が明けると、こっちは夕方…それから会議が始まる。そういう話はあるのかもしれない

-森会長から説明する意志は。

森会長 そんな必要はないでしょ、今ここでしたんだから。昨日は(記事を)出して今日は出さないというわけにはいかないでしょ?

-会長は国民から理解のある大会をと言っていた。ご自身が責任とらないことが開催への批判を強めることにならないか。

森会長 ご心配いただいたということであれば、ありがとうございます。しかし今あなたがおっしゃる通りのことを最初に申し上げたじゃないですか。誤解を生んではいけないので撤回します。五輪の精神に反すると思うから、そう申し上げた

-女性登用に関して、文科省がうるさいから規定が定められているという認識か。

森会長 そんな認識ではない。女性と男性しかいないから。もちろん両性もいるが。どなたが選ばれてもいいと思うが、あまり数字にこだわって、7名までにしなければならないということは、ひとつの標準でしょうけれど、あまりこだわって無理なことはなさらん方がいいなということを言いたかった

-昨日の文科省がうるさいからというのは、数字がという意味か。

森会長 うるさいからというのではなく、そういうガバナンスが示されて、皆さん苦労されているようなので。私はどこの連盟にも関係していないので、いろんな話はいろいろな人から入ってくるから、そういう話を総括して会議の運営は難しいですよと、きのう山下さんに申し上げた

-昨日、聖火リレーでタレントのロンドンブーツ1号2号の田村(淳)さんが辞退した。

森会長 まあ、なんか昨日のことに合わせて報道されたんでしょうが、これは昨日の会合ではないと思う。一昨日の自民党の会合で、そのときにリレーについての質問があり、我々直接やるものじゃないが、各県がやっている実行委員会にお願いをしていて、基本的には密を避けてやってほしいと。その中で人気のあるタレントさんはできるだけ人の集まるところはご遠慮いただいた方が良いかなと私は思っている。それを指示したとか、どこから誰が何キロ走るとかは僕等が決めることではない。実行委員会が決めること。県に言えることはできるだけ密を避けてくださいと。タレントさんが来るとファンが集まる。それを避けるにはどうしたらいいかと、その例として、何もないところといえば田んぼしかないねと。農作業で迷惑をかけるけれど、空が開いているから空気もこもらないし、それしかないですねという(他の人の)意見もありますと紹介しただけで。それもこれも実行委で検討いただき、決めていただきたいと、その例として申し上げた

-著名人のランナーには引き続き継続して走ってもらいたいか。

森会長 私は走ってくださいとも走ってくださるなとも言える立場ではない。お決めいただいたことは所定の手続きをされてこちらに持ってこられると思うが、私は見たことがない。誰が走るか、一切知らない

-基本的な認識として、女性は話が長いと思っているか。

森会長 最近女性の話を聞かないからあまり分からない

-今日、小池都知事が会見で、話が長いのは人によると話していた。

森会長 私も長い方なので

-国会議員の中でも女性の割合をあらかじめ決めておこうという風潮。

森会長 これは民意が決めることではないですか

-会長自身は、クオータ制については賛成か反対か。

森会長 賛成も反対もない。自然に国民が決めること

-冒頭に誤解、不適切だったとの発言がどこがどう不適切と考えているか

森会長 男女の区別をするような発言をしたというところですね

-五輪精神に反するという話もしていたが、そういった人間が組織委の会長をすることは適任か。

森会長 あなたはどう思うか

-私は適任じゃないと思う。

森会長 ではそういう風に承っておきます

-先ほど会長としての発言ではないので責任は問われないとの趣旨の発言もされていたが。

森会長 責任を問われないとは言っていない。場所をわきまえて発言したつもりです

-組織委としての発言ではないから、あの発言は良かったということか。

森会長 そうじゃない。全部見てから質問してください、昨日の

-「わきまえる」という表現をしていたが、女性は発言を控える立場だという認識か。

森会長 そういうことでもない

-ではなぜあの発言を。

森会長 場所や時間、テーマに合わせて話すことが大事なのではないですか。そうしないと会議は前に進まない

-それは女性と限る必要は。

森会長 私も含めてと言ったじゃないですか

(司会者)冒頭の発言の内容に関しては…

(森会長)「(記事を)面白おかしくしたいのか」

-何を問題と思っているのかを聞きたいから聞いているんです。

森会長 だからさっきから話した通りです

-女性が多いと時間が長くなるのは誤解と表現したが、これは誤った認識ということか。

森会長 そういう風に聞いておるんです。去年から、一連のガバナンス(コード)に基づいて各協会や連盟はみなさん人事に非常に苦労しておられたようです。私は昔は全体を統括する体協、いまのスポーツ協会の会長をしていましたから、団体の皆さんとも親しくしております。その皆さんたちは相談にも来られます。そのときに、なかなか大変なんですということでした。特に山下さんのときは、JOCの理事会の理事を削って女性の枠を増やさなければならないということで大変苦労したという話しをしておられて、理事のなかでも反対があったりして大変なのをここまでこぎつけましたという、苦労話を聞いたから

-そうすると各競技団体から、女性が多いと会が長いという話が上がっているということか。

森会長 そういう話はよく聞きます

-それは例えばどんな競技か。

森会長 それは言えません

-データなど根拠のある発言ではなかったと受け止めたが。

森会長 僕はそういうことを言う人がどういう根拠でおっしゃったか分からないが、自分たちが女性の理事をたくさん選んだけれど、結果としていろんなことがあったと、そんな話を私が聞いたことを思い出して言った。山下さんにはそういうことで今後苦労されますよということを申し上げた

-今回の発言でみんな怒っている。五輪運営のトップが女性を尊重しない。森さんの五輪を見たくないという声も上がっているが、どう受け止めるか。

森会長 謙虚に受け止めている。だから、撤回すると言っています