小さな体に秘めた闘志を水面にぶつける。女子ボートレーサーを紹介する「ビューティフル・ボートレース」は、伊藤玲奈(23=福岡)を紹介する。ソフトボールで培った闘争心で「水上の格闘技」と言われるボートレースに挑む心意気と、普通の女の子として過ごすオフの姿を話した。

体は小さくても闘争心を全面に出してレースに挑む伊藤玲奈
体は小さくても闘争心を全面に出してレースに挑む伊藤玲奈

 -中学、高校とソフトボール部で活躍。スポーツ推薦でボート選手へ

 伊藤玲奈 小さい頃は病弱だったんです。だから体を鍛えるためにドッジボールを始めました。それからスポーツに目覚めました。ソフトボールを始めたのもドッジボールの延長でした。

 -ソフトボール部は過酷だった

 伊藤 上下関係も練習も本当に厳しかったです。練習につぐ練習で…。おかげで中学時代は全国ベスト8。筑陽学園高校時代は北京五輪のエース上野由岐子さんも所属した九州女子(現福岡大付属若葉)を破り全国ベスト16に進めました。強いところで内野手としてレギュラーになれたことは誇りに思っています。

筑陽学園ソフトボール部時代
筑陽学園ソフトボール部時代

 -ボートレーサーになろうと思ったのは

 伊藤 中学卒業時にも同級生の知り合いで渡辺優美さん(105期のボートレーサー)がいて誘われたんですけど、まだソフトボールを続けたかった。高校ではやり切った感がありました。実業団にも誘われたんですけど断ったら、お父さんにボートレーサーのスポーツ推薦があることを教えられて受験しました。

 -レーサーになって

 伊藤 部活動が厳しかったので、やまと学校(レーサー養成学校。1年間、集団生活を行う)は苦にならなかった。でも、アスリートとしてやれる自信があったから旋回技術で私よりうまい人がいっぱいいることに落ち込みました。

尼崎ボートレース場の水面を駆け抜ける
尼崎ボートレース場の水面を駆け抜ける

 -それでも前を向く

 伊藤 私は不器用で、とっかかりは良くないんです。ソフトでもこつこつと努力してレギュラーを取りました。ボートでもこつこつとやっていって、強くなってやろうと思ってます。そのための準備は怠らないでやっていきます。

 -体重増加も課題

 伊藤 体重制限(女子は47キロ)があって、その体重に達しないとレースで重りをつけないといけない。大好きな焼き肉を食べてもトレーニングやお風呂に入るとすぐに減ってしまって…。小さい私は、ダイエットを気にする女子とは逆の悩みがあるんです。

 -オフの過ごし方は

 伊藤 家でじっとしているのは好きじゃないです。スポーツも見るより、やる方が好き。最近はホットヨガを始めました。食べることも、体を動かすこともすべてボートレースのためにやってます。それだけ、今はレースに夢中なんでしょうね。完全にリラックスする時間は家族や友達といく温泉巡りや、最近姉に生まれためいと遊ぶことですね。

生まれたばかりのめいの琴羽ちゃんを抱く
生まれたばかりのめいの琴羽ちゃんを抱く

 -好きな男性のタイプは

 伊藤 自分をしっかり持っている人がいいですね。一緒にいて互いに高め合える人。そんな人に出会いたい。

 -最後にボートレースの魅力を

 伊藤 勝ちたいという気持ちがレースで表現できることです。熱い気持ちで走っている私たちを、ぜひ見に来てほしいです。

※次回は4月12日更新予定


 ◆伊藤玲奈(いとう・れな)1992年(平4)9月29日、福岡県福岡市生まれ。111期として12年11月若松でデビュー。初1着は13年10月の宮島。昨年の獲得賞金は664万4000円。151センチ、43キロ。血液型A。