桐生順平(31=埼玉)がイン快勝で初のグランプリ制覇を成し遂げた。3月クラシックに続き、今年SG2冠となった。埼玉支部のグランプリVは初。優勝賞金1億円をゲットし、今年の獲得賞金は2億円を超えた。2着は井口佳典、3着は峰竜太だった。シリーズ戦は新田雄史が逃げ切って、13年オールスター以来2度目のSG優勝となった。

レースが終わっても、スタンドをぎっしり埋めたファンは帰らなかった。住之江に1年で一番、人が集まる日。最後のゴールをトップで駆け抜けたのは桐生順平だった。ガッツポーズはなく、ハンドルを両手で握り、少しだけ頭を下げたようにも見えた。「お客さんに礼をしたつもりでした」。ウイニングランで大歓声がやむことはなかった。それほど強かった。

スタート展示は1236・45。本番は136・245。進入が変わっても慌てなかった。「深いところからいくつもりだった」。100メートル付近の起こしからコンマ16。一気にぶっちぎった。ピットに戻ると同県の須藤博倫、中田竜太と抱き合った。「とにかく全部がすごい緊張感。毎日毎日が。それを味わえて結果を残せた。グランプリというタイトルを、ずっと目標にしてきた」。デビュー11年目、4度目の出場で、初めて埼玉に黄金のヘルメットをもたらした。

クールな印象だが、実は"激辛"好き。世界一辛い唐辛子として知られる「キャロライナ・リーパー」の粉末を持ち歩いている。宿舎でも食事にかけるという。「あれ以上辛いのは食べたことない。辛いのは大好き。減量には最高ですよ(笑い)」。唐辛子で体の中がカーっと熱くなっても、レースでは冷静沈着。深インを克服してしっかり勝ち切る。アウトから落ち着いて展開を見極め、高速ターンで突き抜ける。どちらも桐生の真骨頂だ。

1億円で何を買う? という質問には「ホントに実感がないです」。家族へのクリスマスプレゼントは、すでに買って家に隠しているとか。「サプライズで25日の朝、起きた時に渡すつもりです」。1億円ゲットでボートレース界の頂点に立ったことこそ、支えてきた家族にとって最高のプレゼントになるはずだ。【網孝広】