ボート界のレジェンド、最年長の加藤峻二(73=埼玉)が、ついにカポックを脱ぐ。7日、東京・笹川記念会館で会見を開き、引退を表明した。出走回数1万4652回、55年10カ月のキャリアはもちろん歴代1位。71歳2カ月での最年長優勝など数々の偉大な記録を残し、静かに現役生活にピリオドを打った。

 前日の6日まで地元・戸田ボートに出走していた。最後の1走となったレースも5コースから、スピードに乗ったまくり差しを決め、通算3294勝目を挙げていた。そんな加藤が引退を表明した。その最大の理由としたのが、戸田ボートのシリーズ初戦で犯したフライングだった。

 コンマ03のFは、実に15年8カ月ぶりだった。「なぜ切ってしまったのか、いまだに信じられない」と話した。体力的には「全く問題ない」という。「悔いはないけど、やっぱりまだ走りたかった」とも話した。だが、59年にデビューし55年10カ月に及ぶレーサー人生で、犯したFはたった25回。引退を話す表情は、いつもと変わらぬ淡々としたものだったが、「事故なく走る」を身上としてきた男には、そのFがどうしても納得いかなかった。

 SG制覇も果たした70年代から90年代にかけてが、選手としてのピークだった。だが、加藤がレジェンドとなり得たのは、SGでしのぎを削った選手たちが次々に引退する中、ただ1人、現役レーサーとしての雄姿を見せ続けたからだ。61歳の03年にはSGオールスターで優出、13年には71歳2カ月で優勝した。いずれも最年長記録だ。最も誇りに思うことは、と聞かれ、「出走回数です」と迷わず答えた。1万4652走。不滅の大記録だろう。

 最後に後輩たちに向けて「最近、売り上げも上昇しているし昔のような隆盛期になればいいな。みんな頑張ってもらいたい」と話した。記録も記憶にも残るレジェンドが去った。

 ◆加藤峻二(かとう・しゅんじ)1942年1月12日、埼玉県秩父市生まれ。ボートレーサー第5期生として59年7月戸田ボートでデビュー。SGは優勝戦に18回進出、優勝は70年クラシック(住之江)、72年全国地区対抗(蒲郡)、77年オールスター(住之江)、同年メモリアル(浜名湖)の4回。G1は優勝21回。通算成績は出走回数1万4652回、1着3294回、優勝120回。生涯獲得賞金は16億3575万9463円。163センチ、50キロ。血液型A。