ボートレース史上に残る名勝負だった。篠崎元志(29=福岡)が峰竜太とのデッドヒートを2周1Mで差して再逆転に成功、12年グランプリシリーズ(住之江)以来、2度目のSG制覇を飾った。

 獲得賞金は7700万円を超え、年末のSGグランプリ(住之江)出場に当確ランプをともした。2着には峰竜太、3着には中島孝平が入った。

 ドラマチックな逆転劇の主役は篠崎元志だった。2コースから「少しびびりながら」のスタートはコンマ06。インから先マイに出る峰竜太に差しハンドルを届かせ、2Mを先に回った。しかし、最内を伸びてきた中島孝平をけん制して懐が開き、峰に差し返しを許した。「あきらめかけた」と観念しかけた。しかし、2周1Mでこん身の差しを放ち峰を再度つかまえた。2周2Mを冷静に立ち回り、ライバルを振り切った。

 12年グランプリシリーズ以来、2度目のタイトルを獲得した。「GPシリーズがSG初Vの選手は2度目のタイトルは取れない」というジンクスもあったが打ち破った。「これから何度も勝つと思っていたし、驚きはありませんでした。僕がジンクスを破って良かった」。

 13年の丸亀メモリアル優勝戦でコンマ02の勇み足。無念を味わったが、見事にリベンジした。「メモリアルの借りをメモリアルで返した。これ以上ない幸せです」と笑みがはじけた。

 普段からクールな篠崎そのままに、ピットに引き揚げた時は涙はなかった。しかし、表彰式ではさすがに感激を抑えきれず、大きな瞳をうるませた。

 今年の獲得賞金は7700万円を超えて、ランク2位にジャンプアップ。年末のSGグランプリ(住之江)出場をほぼ確定付けた。「10月SGダービー(浜名湖)の後、フライング休みに入るので、それまでの5節が勝負だと思っていました。ここまで来たらひとつでもいい順位でグランプリに出たいですね」。新夜王は端正なマスクを引き締め、暮れの1億円決戦を見据えた。【工藤浩伸】

 ◆篠崎元志(しのざき・もとし)1986年(昭61)2月28日、福岡県生まれ。96期生として05年5月に若松でデビュー。初優勝は07年5月の若松。11年10月のびわこ周年でG1初制覇。12年12月にはグランプリシリーズを制した。同期は新田雄史、魚谷香織、下條雄太郎。168センチ、51キロ。血液型A。