桐生順平(30=埼玉)が今年最初のSGを制した。1番人気を背負ったイン戦で、コンマ14の仕掛けから力強く逃げた。クラシックは15年尼崎大会に続き、2回目の制覇。通算28回目の優勝を飾り、4年連続のSGグランプリ出場へ大きく前進した。5コースから割り差した井口佳典が2着に食い込み、3着は菊地孝平が入線した。

 桐生順平が平然とクラシック2回目の制覇を果たした。インで5番手スタートながら、1Mは慌てずに先マイ。ゴールしてガッツポーズもない。浮足立つことなく、ピットに引き揚げてきた。

 最後まで47号機を信じた。複勝率84・2%のスーパーエンジンを、着実に仕上げた。準優で完璧な状態。優勝戦は作業をほとんど行わなかった。「ペラをたたこうか迷ったけど、ここまで来たし、ゲージも当てなかった。ノーハンマーでの優勝は初めて」。現代ボート界のトレンドともいえるエンジン本位の調整で結果を出した。気持ちの切り替えが、優勝につながった。15年に尼崎クラシックを制した後、昨年までSG優勝と縁が途切れた。何で勝てないのか、という問いかけに、ある答えを導き出した。

 桐生 今年は一喜一憂しない。いろいろと考えても良くないのが分かったし、失敗ばかりしてきた。結局、この競技は成功がない。結果として(優勝が)出たので、この方向性で行く。

 目の前のチャンスは確実にいただく。1月の戸田周年は準優で唯一逃げ切り、優勝をつかんだ。今回は得点率7・50で桐生、菊地孝平と石野貴之が並び、着順差で予選トップ通過。獲得賞金は5200万円を超え、4年連続のグランプリ出場へ大きく前進。ライバルたちに対して、精神的優位に立った意義は計り知れない。「1つ取ったからといって気を抜くことなく、GPまで1走1走しっかり走りたい」。派手なガッツポーズは、年末のGP制覇までお預けだ。【津波謙次】

 ◆桐生順平(きりゅう・じゅんぺい)1986年(昭61)10月7日、福島県生まれ。100期生として07年5月戸田でデビュー。15年クラシック(尼崎)でSG初優勝。SG優勝は通算2回。同期は和田兼輔、川野芽唯、平高奈菜ら。162センチ、51キロ。血液型AB。