【ドーハ(カタール)=26日】激闘から一夜明け、日本に衝撃が走った。日本代表のMF香川真司(21=ドルトムント)が、ドーハ市内の病院で「右第5中足骨骨折」と診断された。PK戦の末に勝った25日のアジア杯準決勝韓国戦の後半に右足小指の付け根を負傷。全治は明かされていないが、29日(日本時間30日午前0時)の決勝オーストラリア戦の出場は絶望となった。2大会ぶり4度目の優勝へ王手をかけたザックジャパンには、大きな痛手となった。

 激闘の代償は大きかった。韓国をPK戦で下し、一夜明けてのクールダウン。練習場に着いたバスから、香川は降りてこなかった。そのころ最年少21歳の姿があったのは、ドーハ市内の病院。痛みを覚えた右足は、予想以上の重傷だった。

 「右第5中足骨骨折」。

 全治は発表されなかったが、一般的には全治4週間ほどかかる部分だという。骨の弱い小指付け根付近の負傷。香川には利き足の負傷になり、決して無理はできない箇所だ。29日に行われる決勝オーストラリア戦の出場は絶望となった。

 アクシデントは、韓国戦の後半が始まって間もないころに起きた。チーム関係者によれば、香川はハイボールを韓国DFと競り合うようにしてジャンプ。着地した際に、相手選手が右足に乗っかかるようにして降りてきたという。前半は軽快にピッチを走っていた香川が、後半は精彩を欠くようにペースダウン。後半42分に交代した。

 試合後は「後半に足が止まってしまった。こういう舞台で結果や存在感を出す選手にならないと。まだ決勝で1つチャンスが残っているから、修正したい」と話していた。痛みも明かさず、足を引きずるようなしぐさも見せなかった。

 第5中足骨は折れやすく、かつてはアルゼンチン代表FWメッシらも骨折を経験。香川もC大阪時代の09年9月に疲労骨折の症状が見られ、同11月に内固定する手術を受けたことがある。その時は全治まで約1カ月かかった。古傷だけにアジア杯だけでなく、現在リーグ戦17試合8得点とチームを引っ張るドイツリーグへの影響も必至。2月末までの最大4試合の欠場を余儀なくされそうだ。

 香川は今大会から背番号「10」を背負い、5試合すべてに左MFで先発出場。トップ下のMF本田圭らと連動し、攻撃を組み立てていた。準々決勝のカタール戦では2度の同点ゴールなど活躍。決勝も大柄なオーストラリア相手で、スピードのある香川の存在は不可欠だった。日本になくてはならない「顔」の離脱は、MF藤本やMF柏木らが穴を埋めることになる。

 香川が欠席したこの日の練習後、ザッケローニ監督は「大事を取って休ませただけ」と軽傷をアピールしていた。1次リーグからの激戦を乗り越え、決勝トーナメントでは地元カタールと宿敵韓国を撃破。ようやくたどりついた決勝を前に、指揮官にも大きな痛手だ。2大会ぶり4度目の優勝を狙う日本に、暗雲が垂れ込めてきた。