就任発表が近づく次期日本代表監督の最有力候補バヒド・ハリルホジッチ氏(62=ボスニア・ヘルツェゴビナ)が、強力な「ファミリー」を伴って日本を率いる。14年W杯ブラジル大会でアルジェリア代表監督を務めた際のコーチだったノルディン・クリシ氏(60)が、ヘッドコーチ筆頭候補に挙がっていることが3日、明らかになった。指揮官との年俸などの諸条件は基本合意しており、12日の理事会承認、正式発表への準備が着々と進む。

 緊急登板となるハリルホジッチ氏が側近を実績あるスタッフで固める。日本協会関係者によると「少なくともヘッドコーチ、フィジカルコーチ、GKコーチは連れてくる」という意向を持っており、ヘッドコーチの筆頭候補としてクリシ氏が挙がっているという。

 「選手、または監督としてW杯を経験している」という日本協会が新監督に掲げる理想的な条件を、クリシ氏は選手、指導者の両方で満たしている。フランスとアルジェリアの二重国籍を持ち、選手時代はアルジェリア代表で82年W杯スペイン大会、86年メキシコ大会に出場。センターバックとして、82年大会では1次リーグで西ドイツを破る世紀の番狂わせを演出した。

 また、ハリルホジッチ監督のもと、11年から14年W杯ブラジル大会までアルジェリア代表コーチを務めた。指導者としてW杯を経験しただけでなく、ハリルホジッチ氏の哲学を体感して理解している利点もある。さらに現在フリーの立場のため、契約の際に違約金なども必要がない。

 他の候補として挙がるブルーノ・バロンシェリ氏(現ナントのコーチ)はリール、パリSG、コートジボワール代表などで10年近く指揮官とともに仕事をしているが、現職を持つため違約金が必要。昨年トラブゾンスポルで指揮官のもとコーチを務めたジャッキー・ボンネベイ氏は国際経験に欠ける部分があるだけに、クリシ氏がスタッフ入りすれば指揮官にとっても大きな援軍になる。

 フィジカルコーチにはアルジェリア代表などでハリルホジッチ氏と長い付き合いのあるシリル・モワヌ氏が濃厚。GKコーチは現在調整しているが、日本協会関係者によると、アギーレジャパンのリカルドGKコーチが入閣するというプランもあるという。

 南米連盟の会合出席のためパラグアイに滞在中の大仁会長は、1日(日本時間2日未明)にハリルホジッチ氏との交渉について「大丈夫だと思う」と手応えを示していた。既に指揮官に対する年俸200万ユーロ(約2億7000万円)などの諸条件については基本合意しており、コーチ人事などが固まれば正式発表、そして新生日本代表が今月下旬の親善試合に向けて本格的に動きだすことになる。